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ネズミの寿命は約1年〜2年!種類別の寿命と、放っておいてはいけない理由

2024年11月12日

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ネズミの寿命は約1年〜2年!種類別の寿命と、放っておいてはいけない理由

天井裏でカリカリと物音がする…。

それはネズミの仕業かもしれません。ネズミは秋から冬の寒くなる時期に、寒さを凌ぐために屋内へ侵入してきます。

天井裏の物音程度で被害が収まれば良いのですが、ネズミのフンがいろんな場所に落ちていて部屋が汚れてしまったり、時には室内に侵入して食べ物をかじられることもあります。ネズミは汚れた場所を移動しているため、体に病原菌が潜んでおり病気にかかる危険性も。一度ネズミ被害が出ると、放置していてもなかなか解決しません。

寿命がきたら自然と治るんじゃない…?

多くのネズミの寿命は1年〜2年と短いのですが、繁殖力が高いため2年も経つと驚くほどに増殖してしまいます。生まれたネズミがすぐに出産し、その生まれたネズミが出産し…、を繰り返すため、寿命を待っていてネズミ被害が収まるどころかどんどんひどくなる可能性が高いのです。

そこで、この記事ではネズミの種類ごとの寿命寿命を待っていても被害が収まらない理由屋内に発生したネズミに対しての対策についてご紹介します。

ネズミ駆除についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています

ネズミの種類別寿命

ネズミの平均寿命

クマネズミハツカネズミドブネズミ
平均寿命1年〜2年約1年2年〜3年

一般家庭に被害を与えるネズミの平均寿命は1年〜2年程度なのですが、もちろんネズミの種類によって寿命は異なります。基本的に体の大きなネズミは寿命が長く、体の小さなネズミは寿命が短い傾向にあります。

中でも日本の一般家庭で被害が多いクマネズミは寿命が1年〜2年程度であり、放置していても被害が収まることはありません。ネズミが屋内に侵入してくるのは秋頃〜冬の寒い時期であり、春になると多くのネズミは食料を探しに屋外へ出て行きます。屋内で本格的に被害が出るのは10月〜4月の半年ほどの期間なのです。

ほとんどのネズミは1年以上生きるため、駆除をせずに寿命を待って被害が落ち着くのを待とうというのは無理ということ。ここではネズミの種類別の寿命をご紹介します。

クマネズミ:1年〜2年

クマネズミ
体長約18cm〜20cm
体重120g〜200g
毛色黒色・茶褐色
寿命1年〜2年程度
繁殖可能時期生後3ヶ月〜2年
妊娠期間約21日
年間分娩回数5〜6回
1回の産子数約6匹

日本の一般家庭で一番被害が多いのがクマネズミ。中型のネズミで体の色も黒いため、よく見るネズミはクマネズミだと考えて間違い無いでしょう。

クマネズミの寿命は1年〜2年ほどですが、中には3年ほど生きるクマネズミもいます。一般家庭やビルに侵入して生活している個体が多いため、生息する環境によって寿命が大きく異なります。食料が手に入りやすい場所に生息したクマネズミは長生きできますが、過酷な環境にいるクマネズミは1年ほどで死んでしまうのです。

短くても1年は寿命があるため、一般家庭に侵入されたら冬シーズンの間に寿命を迎えて収束することは考えにくいでしょう。もし屋内で被害が出ている場合はしっかりと駆除が必要です。

さらにクマネズミは生後3ヶ月ほどから繁殖が可能となり、21日ほどの妊娠期間を持って5、6回の出産を行います。生後3ヶ月を過ぎた個体がいる場合、半年の間に6回は出産を行うということ。1度の出産で6匹ほどの赤ちゃんが産まれるため、半年で30匹以上の子供が産まれますし、産まれた子供も3ヶ月を過ぎると繁殖し始めます。

ものすごいスピードでどんどん増えていくため、ネズミ被害が発生している時に寿命を待って収束させようというのは無理なのです。

ハツカネズミ:約1年

ハツカネズミ
体長約6cm〜10cm
体重10g〜20g
毛色黒色・褐色
寿命1年〜1年半程度
繁殖可能時期生後1ヶ月〜1ヶ月半
妊娠期間約20日
年間分娩回数6〜10回
1回の産子数約6匹

ハツカネズミはネズミの中でも小型の個体で、その体長は10cm弱。私が住む北陸地方ではハツカネズミが屋内に侵入した被害も比較的多く、一般家庭から駆除依頼があって調査するとハツカネズミが大量発生していることもあります。

ハツカネズミは体が小さいこともあり寿命も比較的短いネズミ。1年〜1年半ほどの寿命しかないのですが、生後1ヶ月程度から繁殖可能なネズミであるため、クマネズミよりも早いスピードでどんどん増えて行きます。妊娠期間も20日程度なので、2ヶ月の間に3回も出産するということ。この妊娠期間が20日間であることからハツカネズミと言われているとかいないとか…。

もし10匹のハツカネズミが侵入していると、3ヶ月ほどで5,000匹ほどに増殖する計算。実際にそこまでの数が一般家庭で生息する可能性は低いのですが、それだけのスピードで大繁殖するため放置して収束させるのは無理なのです。

ドブネズミ:2年〜3年

ドブネズミ
体長約20cm〜26cm
体重200g〜400g
毛色灰褐色
寿命2年〜3年程度
繁殖可能時期生後3ヶ月〜2年
妊娠期間約25日
年間分娩回数5〜6回
1回の産子数約9匹

ドブネズミは体長が20cmを超える大型のネズミ。その名の通り下水道や側溝の中など不衛生な場所に生息しているネズミです。気性が荒く雑食性のネズミなので、他の小動物や魚なども捕食する動物。

一般家庭での被害もありますが、特に多いのは商業ビルでの被害。コンクリートもかじるほど強い顎と前歯を持っているため、壁の隙間をかじって広げ、コンクリートに穴を空けて侵入してくることも。どんな場所でもかじって穴を空けてしまうため、本格的に駆除作業をしなければ被害が収まらないネズミ。

体が大きいこともあり、他のネズミに比べると寿命も長く、3年ほど生きます。生後3ヶ月頃から繁殖を始め、年間5、6回の出産を繰り返すため、3年間の生涯でとんでもない量の子孫を増やします。もし1年間1匹も減らずに繁殖した場合、2匹のドブネズミが1年間で200億匹まで増えるのです…。

一般家庭でも特に排水系から侵入してくる可能性があり、床下に生息しやすいネズミ。温度が保たれている床下に巣を作るため、気付くのが遅くなると駆除が大変になります。

ネズミの寿命を待っていても被害が収まらない原因は繁殖力

ネズミの寿命を待っていても被害が収まらない原因は繁殖力

ねずみ算という計算方法をご存知でしょうか?ねずみ算というのは、「ある期間のうちにネズミがどれくらい増えるか」ということを計算する問題です。

正月に、ねずみのつがいがあらわれ、子を12匹産む。そして親と合わせて14匹となる。このねずみは、二月に子ねずみがまた子を12匹ずつ
産むため、親と合わせて98匹になる。この様に、月に一度ずつ、親も子も孫もひ孫も月々に12匹ずつ産む時、12か月でどれくらいになるかというと、276億8257万4402匹となる。
出典元:ねずみ算とは

現実的に200億を超えるような数になることはないのですが、それほどネズミの繁殖力は驚異的だということです。

クマネズミの場合

クマネズミは生後3ヶ月程度の時期から、年に5〜6回の出産を行います。さらに、一度の出産で6匹ほどの子供を産むため、ねずみ算で計算すると1年後には500匹以上の数に増えるのです。子も孫もひ孫も出産を行うため、指数関数的に数が増大していきます。

一般家庭での被害が多いクマネズミ。その繁殖力が驚異的であるため、寿命を待っていても被害が収まることはないのです。

ネズミが早く寿命を迎える時

ネズミが早く寿命を迎える時

ネズミは驚異的な繁殖力を持っているものの、本当に上のようなねずみ算的に増えていくのだとしたら地球上はネズミだらけになってしまいます。実際にはこのように増えることはなく、寿命以外にも様々な要素がありネズミは早く死んでしまう動物。

天敵に襲われることはもちろんあるのですが、それ以外にもネズミが早く寿命を迎える時があります。

食料・水がない

ネズミは体内にエネルギーを貯めておくことができない動物です。一気にたくさんの食料を食べることによってエネルギーを貯め、そのエネルギーを徐々に使っていくような活動が出来ないのです。エネルギーを貯められないため、毎日食料を探して活動しているということ。

そのため、もし食料がない環境に置かれると2日〜3日ほどで死んでしまいます。餓死する可能性が非常に高い体質であるため、一般家庭や商業ビル、飲食店などの食料を調達しやすい場所へ侵入してくるのです。

寒さに耐えられない

ネズミは寒さに非常に弱い動物です。屋外に生息しているネズミは冬の時期になると寒さを凌ぐために土の中に冬眠する種もいるのですが、屋内へ侵入しているネズミは冬眠しません。冬時期でも食料を求めて屋内を探し回ります。

天井裏や床下といえど、建物の中は凍死するほどの寒さになることはありません。多少気温が低くなったとしても断熱材やゴミを用いて巣を作り、冬の寒さを凌いで生き残ります。気温が急激に下がることによって動きが鈍くなることはあったとしても、また気温が上がってくると活動を再開します。

しかし、殺鼠剤等の毒エサを食べたネズミは血圧が高くなり、目が見えなくなることによって光の見える場所(屋外)へ出て行こうとするのです。すると、急に屋外へ出て冬の寒さに当たるため凍死する可能性があります。

ネズミによる被害

ネズミによる被害

もし屋内にネズミが発生した場合、ネズミの寿命を待っていても被害は収まりません。それどころかどんどん繁殖して増えていくため被害がひどくなっていく可能性があります。

ここでは、ネズミを放置していると起きる被害について簡単にご紹介します。

家の中から物音がする

ネズミはご飯を食べる餌場と、走り回る運動場を区別して生活しています。これは屋内に侵入してきたネズミも同じ。

もし侵入してきたネズミが天井裏を運動場にしている場合、天井裏を走っている音がするかもしれません。といっても天井裏には断熱材が敷き詰められていることが多く、ネズミは体が小さな生き物であるためそこまで走っているバタバタ音がすることは稀。もしバタバタと大きな音がする場合はネズミではなく他の動物が侵入している可能性があります。

ネズミが天井裏に潜んでいる場合、天井裏の柱や梁をかじってカリカリという音を立てることがあります。ネズミは前歯が伸び続ける珍しい動物なので、常に前歯で何かを噛んで削っていないと口が閉まらなくなってしまうのです。そのため、天井裏でも暇があればずっと何かをかじっています。

ネズミが天井裏で増えてしまうと、カリカリ…、カサカサ…という音に悩まされることがあるでしょう。

食べ物をかじられる

ネズミは人間と違い体にエネルギーを貯めることができないため、食料がなくなると2日〜3日ほどで餓死してしまいます。なので、常に食料を探して食べている必要があるのです。

屋内に侵入しているネズミは天井裏や床下で食料を見つけることができないため、最初の頃は屋外へ出て食料を探してきます。しかしキッチンなど室内に食料があることに気付くと、食料を求めて室内へ侵入してくるのです。キッチンやリビングに残されている人間の食べ物はネズミにとってご馳走であり、そういった食べ物を求めて侵入してきます。

蓋がされていない食品は問題外ですが、しっかりと容器に入っている食材でもネズミに狙われます。自慢の前歯で容器を食い破り、中の食品を食べてしまうのです。パンや米の袋がかじられることも多いのですが、油の容器をかじるネズミもたくさんいます。

室内の食料に対して被害が出てくるとネズミが住み着く可能性が高く、天井裏や床下に巣を作って大量繁殖するケースもあります。

室内の汚染

ネズミは体が汚れているため、もしネズミが室内を徘徊するようになるとネズミの通り道が黒く汚れます。この黒い汚れをラットサインと呼び、ラットサインはネズミの侵入経路を見つけるために重要なもの。

しかし、ネズミの体そのものがとても不衛生であるため、ラットサインがついているような場所はとても汚くなります。黒い煤汚れのような状態になりますし、その汚れには雑菌が沸いていることも。

また、食べ物をかじられると周囲にその食べ物が撒き散らされてしまいます。特に油をかじられた時は最悪で、キッチンのシンク下などに収納していたボトルに穴が空いて油まみれになることも。

家電製品をかじられることによる経済的被害

ネズミは暖かい湿気がある場所を好むため、家電製品はネズミの格好の住処。また家電製品そのものではなく、そこから伸びている電源コードもほんのりと熱を持っているためネズミが住み着く場所になり得ます。

室内の家電はもちろん、もし天井裏に走っている電源コードをネズミにかじられると、電線がショートして家全体の家電に影響する可能性があります。もし使用中の家電の電源がショートするとそのものが壊れてしまう可能性もあり、テレビや洗濯機が壊れてしまったら大変…。

そういった家電製品が壊れる可能性という経済的な被害もネズミ被害の一つです。

病原菌やダニによる健康被害

ネズミは下水道や側溝、ゴミ箱の中などを移動している動物なので、その体はとても不衛生。そのためネズミの体には病原菌がたくさん潜んでおり、ダニも寄生しています。つまり、もし屋内にネズミが大量発生するということは、病原菌やダニの塊が屋内にいるということ。

ネズミに潜んでいる病原菌が原因となり、人間にも様々な悪影響を及します。「ちょっと不衛生なくらい…」と油断していると、中には最悪の場合死に至るような怖い病原菌もあるので要注意。

サルモネラ症

サルモネラ症は、ネズミのフンや尿と一緒に排泄されたサルモネラ菌が食品に付着し、人がその食べ物を食べてしまうことによって感染する病気です。人がサルモネラ菌に感染してサルモネラ症を発症すると、急性胃腸炎を発症し、腹痛、発熱、下痢などの症状が出ます。

レプトスピラ症

レプトスピラ症は、サルモネラ菌と同じようにネズミのフンや尿と一緒に排泄されたレプトスピラ菌によって感染する病気ですが、こちらは下水や水田などの排水に流れているような水からも感染します。体に傷がある状態でレプトスピラ菌が含まれた水に触れることによって感染したり、時にはその水を飲んでしまうことで経口感染します。

レプトスピラ菌に感染すると高熱・黄疸(おうだん)・筋肉痛などの症状が現れるのですが、これには1週間〜2週間ほどの潜伏期間があるため注意が必要。何も知らずにレプトスピラ菌を撒き散らしてしまう可能性もあるのです。

ハンタウイルス

ハンタウイルスというのはあまり知られていない名前ですが、乾燥したフンのホコリを吸い込むことによって感染するウィルスです。このハンタウィルスは現在でも治療法が確立されていないウィルスであり、ネズミのフンが原因となるウィルスの中で最も恐ろしいものと言えるでしょう。

ハンタウィルスに感染すると発熱、頭痛、悪寒、脱力、めまい、背部痛、嘔吐などの風邪に似た症状が出ます。急に重症化する恐れもあり、重症化すると死亡リスクもある恐ろしい病気なのです。

ネズミに咬まれることによって感染する鼠咬症(そこうしょう)

もしネズミに咬まれてしまうと、ネズミの口腔内に存在する病原菌(モニリホルムレンサ桿菌、鼠咬症スピリルムなど)によって鼠咬症という病気に感染することがあります。3日~10日程度の潜伏期を経て菌血症を起こし、悪寒、発熱、頭痛、嘔吐、筋肉痛、リンパ節の炎症、全身の発疹を発症します。

比較的珍しい感染症なのですが、ひどいと意識障害や肺炎、髄膜炎(ずいまくえん)などを発症することもあるため、命に関わります。

ダニに刺されて発症するツツガムシ病

クマネズミやドブネズミと呼ばれる種類のネズミは、体の表面にツツガムシというダニが寄生している可能性があります。もしネズミが屋内に侵入してしまうと、このダニも一緒に屋内へ持ち込まれます。

ツツガムシに刺されるとツツガムシ病を発症し、高熱が出ます。刺された場所は乾いた潰瘍状態になることが多く、全身に発疹が出ることも。治療が遅れて重症化すると播種性血管内凝固症候群(はしゅせい けっかんない ぎょうこ しょうこうぐん)を発症することもあり、命に関わります。

早く対策したいならネズミ駆除

もしネズミが発生している場合、ネズミの寿命を待っていても被害が収まることはありません。ネズミはしっかりと駆除しなければ被害がずっと長続きしてしまうもの。

一般家庭で一番被害の多いクマネズミでも寿命は2年ほど、ドブネズミの場合は3年ほどの寿命があるため、冬のシーズン中に寿命を待っていても収まる可能性は低いでしょう。体の小さな動物であるためそもそもの寿命は短いのですが、その驚異的な繁殖力によって放っておくとどんどん増えてしまいます。放置されたネズミは1年で1,000匹以上に増える可能性もあるのです。

ネズミはエネルギーを溜めておけない体質であるため、常に食料を探しています。食べ物がないと2日〜3日程度で餓死してしまうため、屋内に侵入したネズミは必死に食料を求めて室内へ侵入してきます。もし室内で食料が見つかってしまうと、常習的に食料をかじりに出没するためもうお手上げ。

そんな時にはちゃんと害虫駆除業者に依頼して駆除してもらうのが確実です。もし駆除業者へ依頼すると費用がかかるため、自分で駆除しようと考えた時にも注意点があります。ネズミ駆除の方法や注意点については、こちらの記事でご紹介しているので気になる人は確認ください。

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害虫駆除のすすめ

害虫駆除業者として、年間800件以上の現場で駆除作業を行なっている筆者がゴキブリ、ネズミ、ハチ駆除に使える知識をご紹介。駆除の方法だけではなく、使える殺虫剤、予防・対策方法、駆除業者の選び方まで幅広くご紹介します。 プロフィールはこちら

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