このページにはネズミの写真が表示されることがあります。
少し寒い時期になると、家の天井裏でカタカタと小さな物音が…。実はそれ、家の中にネズミが生息しているのかもしれません。
ネズミ自身は食べ物を食い荒らしたりする程度の被害であり、そこまで人間に大きな危害を加える動物ではありません。しかし、ネズミはサルモネラ菌や赤痢菌を伝染させたり、イエダニを運んできたりするため、衛生的な被害を被る可能性があります。もし家にネズミが発生しているのであれば、出来るだけ早めの対処が必要。
ネズミ駆除というと粘着トラップを仕掛けた捕獲駆除をイメージされるかもしれませんが、実はそれ以外にも殺鼠剤や忌避剤など様々な駆除方法があります。ネズミを見たくない場合には殺鼠剤や忌避剤が有効でしょう。
業者へ依頼すると多額の駆除費用がかかるイメージがあり、自分で駆除される方も多いはず。実際、業者へネズミ駆除を依頼したとしてもそこまで多額の費用がかかることは珍しいのですが、自分で駆除することも可能です。もし自分で駆除する場合には、
- 発生しているネズミの種類
- 生息している場所
- 繁殖している規模
を特定することが重要。ネズミは非常に賢い動物なので、的確に対処しないと一向に駆除効果がありません。駆除出来たと思っても翌年になると再発するケースは多々あります。
この記事では、ネズミ駆除を行うためにネズミの種類、駆除の方法、駆除する際の注意点、害虫駆除業者へ依頼した場合の費用などについてご紹介します。ちゃんと駆除と対策を行って、天井裏の気味の悪いカリカリ音から解放されましょう。
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ネズミによる被害
ネズミは非常に小さな哺乳類であるため、直接的に人間が襲われるような被害は少ないのが現実です。といっても、下水道の中や屋外の汚い場所に生息していることが多いため、衛生的な問題があります。また、飲食店の場合はネズミが発生したことによるお客様への風評被害も大きいでしょう。
「天井裏の物音くらいなら。」「ちょっと見かけただけだし。」と放置しているご家庭も多いのですが、屋内で繁殖してしまうと病原菌を撒き散らしたり、ダニが発生する原因となったりするため、なるべく早めの対処が重要です。
食品を荒らされる
ネズミは雑食であり何でも食べます。人間が食べるような食品はネズミにとってご馳走なのです。
キッチンに食品を出したままにしている家庭は要注意。ちょっとの時間だからといってサランラップをかけて放置しているような食事があると、その食べ物を目掛けて天井裏からネズミが降りてくることも。
パンやお米など包装袋に入っている食材でも、ネズミは自慢の前歯で食い破ってしまうのです。私が担当したネズミ駆除の現場では、厚紙に梱包されているようなクッキーもネズミにかじられていました。ポリ袋や紙製のパッケージはネズミにとって何も問題にならない程度のカバーです。
ネズミは食べ物を咥えて持ち運ぶのですが、その時に食べ物をそこらじゅうに撒き散らしてしまいます。キッチンの食品を食い荒らされると棚の中が食べ物だらけになるだけでなく、そこにゴキブリが集まってきたりという二次被害にも繋がりかねません。飲食店の場合、在庫として保管していた食品が食い荒らされると経済的被害も甚大になるでしょう。
病原菌やダニを運んでくる
ネズミ自身が病原菌を持っているというわけではないのですが、そもそもネズミは不衛生な場所を好んで生活しているため、その体表面や体内には数々の病原菌が潜んでいます。時には病原菌ではなくダニがネズミに寄生しており、そのネズミが屋内に入ってくることによってダニが蔓延することもあります。
ネズミの排泄物によって感染するサルモネラ症、レプトスピラ症
ネズミは不衛生なものをたくさん食べていることもあり、体内にサルモネラ菌やレプトスピラ菌を持っています。
サルモネラ症は、ネズミのフンや尿と一緒に排泄されたサルモネラ菌が食品に付着し、人がその食べ物を食べてしまうことによって感染する病気です。人がサルモネラ菌に感染してサルモネラ症を発症すると、急性胃腸炎を発症し、腹痛、発熱、下痢などの症状が出ます。
レプトスピラ症は、サルモネラ菌と同じようにネズミのフンや尿と一緒に排泄されたレプトスピラ菌によって感染する病気ですが、こちらは下水や水田などの排水に流れているような水からも感染します。体に傷がある状態でレプトスピラ菌が含まれた水に触れることによって感染したり、時にはその水を飲んでしまうことで経口感染します。
レプトスピラ菌に感染すると高熱・黄疸(おうだん)・筋肉痛などの症状が現れるのですが、これには1週間〜2週間ほどの潜伏期間があるため注意が必要。何も知らずにレプトスピラ菌を撒き散らしてしまう可能性もあるのです。
ネズミに咬まれることによって感染する鼠咬症(そこうしょう)
もしネズミに咬まれてしまうと、ネズミの口腔内に存在する病原菌(モニリホルムレンサ桿菌、鼠咬症スピリルムなど)によって鼠咬症という病気に感染することがあります。3日~10日程度の潜伏期を経て菌血症を起こし、悪寒、発熱、頭痛、嘔吐、筋肉痛、リンパ節の炎症、全身の発疹を発症します。
比較的珍しい感染症なのですが、ひどいと意識障害や肺炎、髄膜炎(ずいまくえん)などを発症することもあるため、命に関わります。
ネズミに寄生したダニに刺されて発症するツツガムシ病
クマネズミやドブネズミと呼ばれる種類のネズミは、体の表面にツツガムシというダニが寄生している可能性があります。もしネズミが屋内に侵入してしまうと、このダニも一緒に屋内へ持ち込まれます。
ツツガムシに刺されるとツツガムシ病を発症し、高熱が出ます。刺された場所は乾いた潰瘍状態になることが多く、全身に発疹が出ることも。治療が遅れて重症化すると播種性血管内凝固症候群(はしゅせい けっかんない ぎょうこ しょうこうぐん)を発症することもあり、命に関わります。
建物の破損
ネズミ被害にあった建物は壁や扉の隅、家具、電源ケーブルなどにネズミにかじられた跡がたくさんあります。ネズミは、柔らかく咬みやすいものだけではなく、時にはコンクリートもかじって穴を開けてしまうほど強力な歯を持っています。
実はネズミは人間と違い、歯が伸び続ける生き物です。人間のように一定の大きさまで歯が発達したらそこで成長が止まることはなく、生きている間は歯が伸び続けるのです。歯が伸びすぎると顎を閉じることができず、食べ物を食べることも出来ません。そのため、ネズミは常に歯を研いで大きさを揃えておく必要があるのです。
侵入用の穴を開けるために建物をかじっている場合もありますが、そのほとんどは歯を研ぐためにかじっています。ネズミが繁殖している建物では食品だけでなく建物の被害も甚大で、壁や床に大きな穴が空いてしまったり、排水管に穴を開けられてしまったケースもあります。
家電製品が壊れることも
ネズミは電源ケーブルをかじって断線させることもあるため、ネズミが生息したことによって家電製品が壊れることもあります。室内で使用している家電製品の電源コードをかじられることもあれば、天井裏に通っている配線をかじってショートさせることもあります。
もし天井裏でケーブルを断線させられてしまったら各所の電源コンセントが使えなくなったり、最悪の場合は複数の家電が故障する原因にもなります。そういった経済的被害を受けないためにも、家の中にネズミが生息していると思ったら早めに駆除しましょう。
風評被害
特に飲食店などの商業施設でネズミが発生すると、お客さんからのクレームにつながりますし、そのお客さんからの口コミなど風評被害につながる可能性もあります。ネズミを見かける不快感だけでなく、ネズミが発生している=不衛生なお店というレッテルを貼られてしまうと、それを挽回するのはとても大変です。
いくらネズミを駆除したとしても、ネズミが完全に駆除されたことを確認しにきてくれるお客さんはいませんし、お店としてネズミが出ないことをアピールすることも出来ません。最近ではSNSの口コミが重視されており、お客さんがネズミを見かけたとSNSに投稿されただけで倒産してしまう飲食店もあるほどです。
ネズミの習性
ネズミを駆除する場合、
- 粘着トラップや捕獲器で捕獲駆除する
- 殺鼠剤(毒エサ)で駆除する
といった方法がありますが、そもそもネズミの習性を理解していなければ適切な駆除が行えません。ネズミは賢い動物なので、ただ単に粘着トラップを仕掛けても避けてしまいますし、殺鼠剤をたくさん設置したのに食べてくれないことも多々あります。まずはネズミの習性を把握して、習性に合わせた対策を打っていきましょう。
ネズミが家に入る理由
ネズミは秋から冬にかけて建物内に侵入してきます。ドブネズミなど大型のネズミは1年間を通して屋外で活動することもあるのですが、小型のネズミは冬に時期に寒さを凌ぐため屋内へ侵入するのです。人間と同じく、寒い時期になると暖かい建物の中に隠れようとします。冬の時期になると天井裏から物音が聞こえるのはそのためです。
といっても、ネズミも生きていくためには食料と水が必要。人間が住む家や商業施設、飲食店、テナントビルなどはネズミが好む食べ物がたくさんあり、ちょっとした水場もあります。そのため、そういった食料と水を求めて建物内に侵入してくるのです。
ネズミは何かしらの危害を加えるために建物へ侵入するのではなく、住む場所と食料を求めて屋内へ侵入してきます。扉の隙間だけでなく、家の通気口、屋根の隙間、排水管、エアコンや換気扇ダクトから侵入してくることが多く、侵入した先で食料と水が確保できるとその場に巣を作って住み着くのです。
ネズミは寒さを凌いで生活するために屋内へ侵入してきますが、ずっと家の中だけで生活しているわけではありません。侵入経路があるということは、屋外へ出ることもできるということ。時には外出して屋外で食料を拾ってきたり、水を飲みに出かけたりしています。人間と同じように本当の家のように生活しているネズミが多いのです。
1cm程度の隙間から侵入してくることも
ネズミの種類によりますが、小型のネズミだと1cmほどの隙間があれば十分に侵入可能。新しい家なので扉や壁に隙間はないと思っていても、住宅は空気を循環させるための通気口が開いています。そのちょっとの隙間から侵入してくることもあるのです。
部屋の中に出てきたりするけど、どこから出入りしてるんだろう?
と不思議に思うかもしれませんが、天井の隅にあるちょっとした隙間や、クローゼットの中にある点検口、床下収納の隙間などから出入りしていることが多いです。時には壁にあるコンセントカバーの隙間から出入りしているネズミもいました。
普段の生活では気付かないようなちょっとした隙間だけでもネズミにとっては十分な広さであり、そういった箇所から出入りしているのです。
穴を開けて侵入してくるネズミも
扉や壁に隙間がなかったとしても、自分でかじって穴を開けて侵入してくるネズミもいます。古いお家だと壁の隅の方に三角形の穴が空いているケースがあるのですが、それはネズミがかじった跡です。自慢の前歯で壁を少しずつかじって穴を開け、そこから侵入してきます。
木製の壁、土壁などは簡単に穴を開けられてしまいますし、中にはコンクリートに穴を開けて侵入している大型のネズミもいました。隙間をパテやブロック、金属たわしなどで塞いでいる家庭もありましたが、それくらいのものであればネズミは簡単にかじって穴を開けてしまいます。私が経験した現場では、アルミ製の網を食いちぎって侵入しているネズミもいました。
ネズミは非常に強い顎と歯を持っているため、侵入経路を塞ぐためにはそれなりの用意が必要です。
ネズミの食料
ネズミは雑食動物なので、基本的には何でも食べます。アニメの影響でネズミはチーズを主食にしていると思っている人も多いかもしれませんが、人間の食べ残し、生ごみだけでなく、ペットフードもネズミの食料です。さらに、ヤモリや小さな鳥、昆虫を捕食するネズミも存在します。
何でも食べてしまう動物であるため、食べ残しや生ごみなどはしっかりと密封して匂いが出ないように始末しておくのが大事。下水道の中で生活するほどの雑食なので、汚物でさえネズミの食料になってしまいます。そのため、ペットを飼っている方はペットのフンも頻繁に捨てるようにしましょう。
ネズミは想像以上に大食であり、1日に体重の3分の1〜4分の1程度の量のご飯を食べます。もし体重70キロの人間だったとしたら、1日に20キロほどのご飯を食べるということ。といっても、ネズミの胃は小さく、お腹の中に食べたものを溜めておくことができません。1日の断食で弱り始め、2日〜3日何も食べられない場合には餓死してしまうのです。
定期的に食事ができないと餓死するため、家の中に生息した場合でもネズミが食べるようなものを排除すれば早期に駆除が可能。
ネズミの住処
ネズミは暖かい時期には屋外に生息しています。土の中に巣を作るような種類のネズミもいれば、下水道の中に生息しているネズミもいます。暗くて狭い場所を好むため、日光の当たらない湿った場所に好んで巣を作る傾向にあるのです。カラスやイタチ、猫などがネズミの天敵となるため、そういった点滴から身を守るために、ネズミは狭い場所に隠れています。
寒さが苦手な動物であるため、10月以降に気温が下がってくると建物の中に侵入して巣を作り始めます。天井裏、壁の中など断熱材が敷かれている場所を好み、断熱材をかじった残骸で巣を作り上げるのです。そういった隙間に入れない場合、家電製品や家具の中に入り込んで巣を作ることも多々あります。
ネズミの性格
ネズミはとても臆病で警戒心が強い動物。耳と鼻は人間よりも発達しており、ほんの少しの物音や匂いの変化を嗅ぎ分けて生活しています。屋内に侵入してくる時も、その場所にエサとなるものがあるのかを嗅ぎ分けながら、天敵がいないか確認して侵入してくるのです。
警戒心が非常に強いため、室内のちょっとした物音で物陰へ隠れます。キッチンの食品が食い荒らされているのにネズミを見かけたことがないというのは、人間の気配を察知して見つかる前に隠れているのです。また、天井裏で物音がしたときに天井をコンコンっと叩くと、その音に警戒してしばらく活動をやめたりもします。
嗅覚も非常に発達しているため、遠く離れていても食料の場所を感知しています。天井裏や物陰の中に生息していながら、ちゃんとエサの場所を確認して一直線に進んでいくのです。
嗅覚が発達しているため、もし粘着トラップや殺鼠剤などの駆除用品を使う時には人間の手で触れないように要注意。手袋をすることはもちろん、服に付いている匂いが移る可能性もあるため香水などには注意しておきましょう。トラップを仕掛けておいても人間の匂いがすると避けてしまいます。
ネズミの生命力
ネズミはその小さな見た目の通り、生命力がそこまで強い動物ではありません。1日に体重の1/4〜1/3の重さの食料を食べる必要があり、2、3日食べていないと餓死してしまいます。定期的に水を飲む必要もあるため、何もない場所で2、3日生息する事はできないのです。つまり、ネズミが食べるようなものを放置しないだけでも十分駆除に役立ちます。
もしネズミを粘着トラップ等で捕獲した場合、仲間へ注意を促すために鳴き続けます。助けを呼んでいるのか、仲間にトラップの場所を知らせているのか定かではありませんが、捕まったネズミが鳴いていると他のネズミは厳戒態勢になってしまうため、以降の駆除作業がスムーズに進みません。
粘着トラップ等で身動きが取れなくなっても、粘着トラップで窒息するか、頭を潰されない限りは生き続けます。もし粘着トラップで捕獲したなら、早めに破棄して入れ替えましょう。
基本的には食料がなければ2、3日で餓死すると言われていますが、私の経験上では、設置後数週間経った粘着トラップのネズミが生きていたこともあります。大型のネズミ(ドブネズミ等)だけでなく、小さなネズミ(ハツカネズミ)が生きていたこともあります。
ネズミの繁殖力
ネズミは非常に繁殖力に優れた動物です。
ねずみ算という計算がありますが、これは指数関数的に数が増えていくものであり、ネズミの繁殖力の強さからねずみ算と名付けられています。
ねずみ算
正月にネズミのオスとメスが現れた。そのネズミたちは正月に12匹の子供を産む。すると全体で14匹になる。
さらに2月には親、子供を合わせた14匹がそれぞれ子供を12匹づつ産む。すると2月には全体で98匹になる。
このように、毎月各世代が子供を産むとすると12ヶ月で276億8257万4402匹のネズミが誕生する。
最初は2匹のネズミだったが、指数関数的に家族が増えて12ヶ月で276億匹にまで増える。
細かな計算式等は省きますが、このように指数関数的に増える計算式の名前になるほど、ネズミというのは繁殖力が強い生き物です。
実際にネズミは年間5、6回ほどの繁殖を行い、1回の分娩で5匹〜10匹程度の子供が生まれます。さらに、生後3ヶ月程度から繁殖が可能になるため、生まれた子供がその年内に繁殖して子供を増やしていきます。ネズミの巣を放置してしまうと、1年間でとんでもない数に繁殖するのです。
本当に200億を超える数まで増えるわけではありませんが、私が経験した現場でも倉庫中に仕掛けた粘着トラップに1週間で100匹近いネズミが捕獲されたことがあります。
ネズミの活動範囲と活動時間
ネズミは巣を持って生活する動物であり、巣を中心として活動範囲を広げていきます。体の小さなハツカネズミは最大でも巣から17mほど離れた場所までを活動範囲とするようですが、クマネズミやドブネズミは最大で巣から50mほど離れた場所までを活動範囲とします。
ネズミの活動範囲
ハツカネズミ:平均3m(最大17m)
クマネズミ、ドブネズミ:平均16m(最大50m)
クマネズミが屋内に発生した場合、その行動範囲は16mにも広がるため、一般住宅では家の中のほとんど全てが活動範囲となります。
ハツカネズミの場合は平均行動範囲が3mなのでかなり狭く感じますが、ハツカネズミは行動範囲を頻繁に変える習性があるため、必ずしも巣の近くにいるとは言い切れません。体も小さくこじんまりとして生活していそうなのですが、ウロウロと行動場所を変えるため駆除も大変。
また、ネズミは基本的に夜行性です。暗がりを好む性格なので夜間に行動することが多いのですが、人がいないと日中でも屋内に出没します。特に飲食店などは夜間に営業している店舗もあるため、夜間はひっそりと潜んでいて店が閉まっている日中に降りてきているケースも多々あります。
ネズミの鳴き声
よくアニメなどではネズミの鳴き声というと「チューチュー」という表現をされますが、実際のネズミの鳴き声は違います。中には「チューチュー」と鳴くネズミもいるのかもしれませんが、ほとんどのネズミは「キーキー」と甲高い声で鳴きます。
と言ってもハツカネズミなど小さなネズミはもっと甲高い「ピーピー」に近いような声で鳴きますし、ドブネズミは「ギーギー」と大きな声で鳴きます。想像しているような「チューチュー」と可愛い声でなくネズミには出会ったことがありません。
また、天井からネズミの足音が聞こえるという方もいるのですが、本当に足音が聞こえてる場合はネズミではなくもっと大きな害獣です。ハクビシンやコウモリ、イタチなどが入り込んでいる場合が多いです。ネズミは非常に体が小さいので足音はほとんど聞こえません。逆にカリカリと何かを削るような音が聞こえた場合はネズミの可能性が高いです。
ネズミの種類と特徴
ネズミを駆除するためには、まずどの種類のネズミが発生しているかを特定しなければいけません。ネズミは動物なので種類ごとに習性が異なり、その習性に合わせた対処を行わなければ根本的な解決が出来ないからです。ここでは、ネズミの種類ごとの特徴をご紹介します。
クマネズミ
体長 | 約18cm〜20cm |
体重 | 120g〜200g |
毛色 | 黒色・茶褐色 |
寿命 | 3年程度 |
繁殖可能時期 | 生後3ヶ月〜2年 |
妊娠期間 | 約21日 |
年間分娩回数 | 5〜6回 |
1回の産子数 | 約6匹 |
フンの形状 | 茶色く6mm〜10mm程度の大きさで、不揃いな楕円形 |
クマネズミは日本の一般家庭で最も被害の多いネズミです。クマネズミは警戒心が非常に強く、人間の匂いや物音を敏感に察知して行動しています。体は黒色か茶褐色系で、THE ネズミという感じの長い尻尾を持ったネズミ。体が割と大きいものの他のネズミのように太くなく、尖った鼻を持っているのが特徴。室内にも出没して素早いスピードで移動します。
ネズミの中でも活動的な種類であり、行動範囲も広いネズミです。屋外の側溝の中にいたり、商業施設のビルに忍び込んだり、家の中に侵入してきたり。
比較的体は大きいものの、俊敏で運動能力が高いのも特徴です。高いジャンプ力を誇り、時には2m近くジャンプすることも。壁面やパイプも上り下りできるため、建物の2階部分から侵入してくる可能性も十分に考えられます。穀物や果物など植物質の食べ物を好むため、屋内に侵入してきてキッチンに保管されている食料を漁ることがあります。
他のネズミに比べると繁殖力は少し弱いのですが、生後3ヶ月から繁殖が可能になり、なおかつ21日程度の妊娠期間で出産を繰り返すため1年ほどの期間があれば大量発生します。年5、6回は分娩するため、ねずみ算的に増えていくとかなりの数に。
ハツカネズミ
体長 | 約6cm〜10cm |
体重 | 10g〜20g |
毛色 | 黒色・褐色 |
寿命 | 1年〜1年半程度 |
繁殖可能時期 | 生後1ヶ月〜1ヶ月半 |
妊娠期間 | 約20日 |
年間分娩回数 | 6〜10回 |
1回の産子数 | 約6匹 |
フンの形状 | 茶色く5mm程度の大きさで、両端が尖った米粒のような形 |
ハツカネズミは体が非常に小さいネズミ。クマネズミに比べると体の色も薄く、褐色(薄茶色)のものも多く存在します。ハツカネズミはクマネズミ以上に用心深く警戒心の強いネズミであり、人間が生活しているような場所にはあまり顔を出しません。夜中の人気(ひとけ)がない時間帯を狙って食料を物色しています。クマネズミに比べると頭も体も小さく、全体的に丸いのが特徴。
生後1ヶ月ほどから繁殖が可能になるため、巣に子供が生まれだすと一気に増殖していきます。年間で10回ほど分娩する個体もおり、屋内に発生したハツカネズミを放置していると、1年でとんでもない数に増えてしまうのです。体が小さいため生命力は弱いのですが、発生したら早めの対応が重要。
ハツカネズミは体が小さく、1cmほどの穴があれば侵入してきます。そのため、建物自体へ侵入してくることを防ぐのは難しく、もし発生した時にはまず最初にハツカネズミが住み付かない環境づくりが重要。殺鼠剤等の毒に対して耐性がある個体もおり、増殖してしまうと駆除が非常に難しいネズミです。
ドブネズミ
体長 | 約20cm〜26cm |
体重 | 200g〜400g |
毛色 | 灰褐色 |
寿命 | 3年程度 |
繁殖可能時期 | 生後3ヶ月〜2年 |
妊娠期間 | 約25日 |
年間分娩回数 | 5〜6回 |
1回の産子数 | 約9匹 |
フンの形状 | 濃い茶色で10mm〜20mm程度の楕円形 |
ドブネズミは国内のネズミの中でもかなり大きな体を持つネズミ。大きなものは体長30cmほどになることもあり、パッと見ただけではネズミでなく小動物に間違えてしまうことも。私も一度、粘着トラップに捕獲されたドブネズミを見つけた時に、子猫と見間違えたことがありました。
ドブネズミは丸い鼻とボテッとした重量感のある太い胴体が特徴。粘着トラップよりも大きな個体もいますし、力が強いので粘着トラップを引きずっていってしまうことも。もし粘着トラップを使用する時には2枚以上を敷き詰めた方が良いでしょう。
”ドブネズミ”という名前の通りドブ(側溝や下水道)によく生息しており、湿度の高い環境を好むネズミです。田舎の場合は川や池、田んぼの中に生息していたり、都会では側溝の中や地下鉄の構内、商業施設内の飲食店などに生息しています。体が大きいためビルの壁を登ったりすることは少ないのですが、下水道から排水溝を通って屋内に侵入してくることが多々あるのです。
他のネズミと同じく警戒心が強いのですが、他のネズミと比べるとかなり獰猛な性格をしているのも特徴。大きな体と強靭な前歯で建物の壁をガリガリとかじって穴を開けてしまうネズミです。魚介類や肉などの動物質の食べ物を好み、都会では大量のドブネズミが発生し建物に大きな被害を与えてニュースになることも。
ネズミの駆除方法
ネズミを駆除する方法はいくつかあるのですが、確実にこの方法で駆除出来るという正解はありません。ネズミの種類、発生状況(被害の大きさ)、周囲の環境などによって対処法も異なりますし、一般住宅の場合はネズミを見ずに駆除したいか、確実に捕獲駆除したいかによっても対処方法が異なります。
さらに、ネズミは全数を完全駆除することが難しいため、ある程度駆除することによってネズミが環境変化に警戒して逃げ出すように仕向けるのもポイント。その場合、再発生しないように侵入経路を遮断し、忌避剤(ネズミが嫌がる薬等)を設置するのも一つの方法です。
ここでは、ネズミ駆除の方法、駆除グッズ、その使い方と注意点についてご紹介します。
ネズミを見たくないなら殺鼠剤を使った駆除
駆除する時にネズミを見たくないなら殺鼠剤を用いた駆除がおすすめです。ワルファリンやクマリン、ジフェチアロールと呼ばれる成分が含まれる毒エサを設置し、ネズミにその毒餌を食べさせることによって駆除する方法。捕獲して駆除するわけではないので、ネズミを見たり、捕まったネズミを廃棄する必要がないため初心者でもハードルが低い駆除方法でしょう。
殺鼠剤には遅効性(慢性毒性殺鼠剤)のものと、即効性(急性毒性殺鼠剤)のものがあります。ワルファリンやクマリンが含まれている殺鼠剤は遅効性のものであり、ジフェチアロールやシリロシドが含まれている殺鼠剤は即効性のものです。殺鼠剤は少しずつ食べさせることが効果的なので、まずはクマリン系やワルファリン系の成分が含まれた遅効性殺鼠剤から使用しましょう。
市販されている殺鼠剤には粉末タイプのものや固形タイプのものがありますが、扱いやすいのは固形タイプ(錠剤タイプ)のものです。設置しやすいトレーに入ったものも販売されているため、まずはそういったものから使用するのが良いでしょう。
殺鼠剤というのはネズミに食べさせる毒なのですが、他の害獣に比べて警戒心が強いネズミでも効果を出せるように、習性に合わせた設置が重要となります。いくら効果の高い殺鼠剤を使用しても、設置方法が適当では全く効果がないのです。
殺鼠剤はネズミを家から追い出す効果がある
殺鼠剤でネズミ駆除すると、天井裏にネズミの死骸が残るんじゃないの?
と心配される方も多いのですが、実は殺鼠剤の毒はその場でネズミが死んでしまうようなものではないのです。そもそも効果が出るまでに時間がかかるものなのですが、直接的にネズミが死ぬ薬ではなく、殺鼠剤はネズミの体内に内出血を起こすための薬です。
殺鼠剤を食べたネズミは体の中で内出血が起こり、徐々に目が見えなくなっていきます。普段は暗いところに生息しているものの、視力が衰えて見えなくなっていくため、明るい場所(屋外)を求めて移動。さらに、血圧が上昇するため喉が渇くようになり、水場を求めて巣を離れていきます。その結果家から出て、側溝の中や草むらの中で死んでしまうのです。
そのため、多くの方が心配されるように天井裏でバタバタとネズミが死んで死骸が残るようなことはありません。時々、ネズミの侵入口を見つけて最初に塞ぐ方がいますが、侵入経路を遮断するのは一番最後にしましょう。殺鼠剤を食べてせっかく外へ逃げ出そうとしているネズミが、外へ出れなくなってしまいます。
殺鼠剤は効果が出るまでに時間がかかる
殺鼠剤の毒は即効性がないため、駆除するためには1週間〜2週間ほどの期間が必要となります。多くの殺鼠剤は3日〜5日間ほど継続して食べることによって、その後3日〜5日後に効果が現れます。効果が出るまで時間がかかるのですが、その間はなるべく設置した殺鼠剤に触れずにそっとしておきましょう。もし場所が移動していたりするとネズミが警戒して食べなくなります。
もし即効性が高い毒で駆除してしまうと屋内でバタバタとネズミの死骸が増えてしまい、天井裏などにネズミの死骸が放置されることによる二次被害も想定されます。体内にある病原菌が室内に蔓延してしまったり、体表面についていたダニが繁殖して室内に広がる可能性もあります。さらに、他の害虫や害獣がネズミの死骸を求めてやってくる可能性も。
また、即効性が高く、殺鼠剤を食べたネズミがすぐに死んでしまう場合、その状況を見た他のネズミが警戒して殺鼠剤を食べなくなります。殺鼠剤はネズミが食べやすいように作られているのに、そのもの自体が危険だと認識されてしまうと食べた1匹以外に対して効果がないのです。多くのネズミに気付かれないよう、継続的に食べてもらう工夫が必要。
設置する際には手袋が必須
殺鼠剤を設置する時には必ず手袋を使用しましょう。軍手でも良いのですが、さらに手首まで長く覆えるゴム手袋の方が良いでしょう。なるべく素肌が露出しないようにします。
これは殺鼠剤自体にそこまで強力な毒性があるわけではなく、設置する殺鼠剤に人間の匂いを付けないのが目的です。ネズミは非常に警戒心が強い生き物なので、人間の匂いが少しでもするとその殺鼠剤を食べてくれません。殺鼠剤は遅効性の毒エサなので継続的に食べてもらわないと効果がないのですが、もし人間の匂いが少しでもするとそれ以降は食べないのです。
殺鼠剤を設置すると「食べてるかな?」と気になってちょくちょく確認してみたくなるかもしれませんが、もしその際に人間の匂いがついてしまったり、触って場所が動いてしまうと食べてくれなくなるため、短くても設置してから1週間ほどは放置しておきましょう。
餌場の近くになるべく多く仕掛ける
ネズミは縄張り意識(エリアの区別)が強い動物であり、屋内に生息している時にも
- 巣:エサを食べる場所
- 運動場:走り回ったり、歯を研ぐ場所
と区別して生活しています。殺鼠剤を設置する時には、なるべく餌場として使用している巣の近くがおすすめ。運動場になっているような場所に設置しても、ネズミは食べてくれません。カタカタと天井から音がするためその音の近くに設置する方がいますが、そういう音が出ている場所は運動場になっているだけなので、ネズミが食事をすることはないのです。
殺鼠剤を設置する時には天井裏や壁の隙間を探し、巣が作られていると思われる付近に設置します。さらに、室内へ降りてきて食料を探しているような跡(ラットサイン)があるのであれば、そういったネズミの通り道に設置するのもおすすめです。
食いつきが悪い時には食品を混ぜる
殺鼠剤はネズミが好む味、匂いに作られていますが、全てのネズミに同じように効果があるわけではありません。人間に食べ物の好みがあるように、ネズミにも好みがあるのです。もし殺鼠剤を設置しても食べない場合、まずは食事場になっている場所が他にないか確認しましょう。
それでも食べてもらえない時には、殺鼠剤の中に食品を少し混ぜてみるのも一つの方法です。被害にあった食品があればそれを、難しい場合はひまわりの種を混ぜたり、コーン油やソースを数滴かけてみるのがおすすめ。ペットフードを少しだけ混ぜてみるのも効果があります。
殺鼠剤を設置したら、その周辺に他の食べ物が置かれないように気をつけましょう。これは食べ物に殺鼠剤が混ざる危険性を回避するという意味もありますが、ネズミが殺鼠剤に集中して欲しいためです。殺鼠剤よりも美味しいものを見つけると殺鼠剤を食べてくれないため、しっかりと掃除した場所に殺鼠剤を設置するのがおすすめ。
駆除したいネズミのために食事を準備するというのも変な感覚ですが、殺鼠剤を好んで食べてもらえるような工夫が必要です。
確実に結果を確認したいなら捕獲器を使った駆除
殺鼠剤を使用すると、毒エサを設置しておくだけで駆除ができて便利なのですが、本当にネズミがいなくなったのかを確認することはできません。殺鼠剤を食べなくなった頃がネズミがいなくなったタイミングと思われる方も多いですが、実は一時的に食べなくなっただけで、ネズミ自体は巣の中(天井裏)に潜んでいる可能性もあります。
そんな時には粘着トラップ等の捕獲器で駆除を行うのがおすすめ。といっても、粘着トラップだけでネズミを完全に駆除することは難しいのが現状です。あくまでも粘着トラップでの捕獲はたまたまネズミが1匹だけ侵入した時か、駆除の補助的に使う必要があります。
粘着トラップは確実にネズミを捕獲して駆除できる物なのですが、しっかりと効果を出すためには注意すべきポイントがあります。
粘着トラップは素手で触らない
ネズミは匂いに敏感な生き物であるため、殺鼠剤を設置する時と同じく粘着トラップも素手で触れないように注意しましょう。人間の匂いがついてしまうとネズミは警戒して粘着トラップを避けるようになります。一度粘着トラップを警戒するようになると、2つ目以降も警戒して捕獲が難しくなってしまうのです。
設置する時には軍手、ゴム手袋などを着用し、素肌が触れないように気をつけましょう。また、香水や柔軟剤の匂いもネズミが警戒する原因となるため、作業の時にはそういった匂いがするものは身に付けない方が良いです。
粘着トラップは殺鼠剤と併用する
粘着トラップを使用する時には殺鼠剤と併用しましょう。あくまでもネズミ駆除のメインとなるのは毒エサである殺鼠剤です。どうしても粘着トラップや捕獲器でネズミを捕獲して駆除するイメージがあるかもしれませんが、粘着トラップ等の捕獲器で駆除できるのは極々一部のネズミだけ。
ネズミは賢い動物なので粘着トラップの存在に気付いてしまいますし、もし1匹捕まった場合には「あの場所は危険だ。」と仲間に知らせる習性があるため、たくさんのネズミを一つの粘着トラップで捕獲することはできません。しかし殺鼠剤を食べているネズミは体内で内出血を起こして判断が鈍っているため、粘着トラップに捕まる可能性も高くなるのです。
殺鼠剤は餌場になっている付近に設置するのがおすすめですが、粘着トラップは運動場になっているような場所に設置します。ネズミがウロウロしている場所に設置することによって、移動しているネズミを捕獲できます。天井らでカリカリと音がしている近辺に設置しましょう。
粘着トラップの下には新聞を敷いておく
ネズミは水場によく現れますし、油っこいものを好んで捕食します。そのため、ネズミの体表面や足は油で汚れていることが多く、そのままでは粘着トラップを踏んでもくっ付かずに逃げてしまう可能性があります。
そのため、粘着トラップを仕掛ける時には粘着トラップの下に新聞紙等の紙を設置するのがおすすめ。粘着トラップよりも大きなサイズの新聞紙を設置しておき、ネズミが足を拭いてから粘着トラップを踏むような仕組みにしておきましょう。そうすると粘着力がアップするので粘着捕獲できる可能性が高くなります。
また、ネズミは紙をくしゃくしゃに噛んだりする習性があるため、新聞紙で遊ぶために粘着トラップの方へ誘導するような効果もあります。
捕獲できない時には粘着トラップ中央にエサを置く
ネズミの粘着トラップはそのまま使用していてもただの粘着版です。わざわざネズミが粘着トラップに捕まるために来てくれることはありません。ラットサイン(ネズミが通った跡)があるようなネズミの通り道に設置するものですが、ネズミによっては粘着トラップを避けて歩くものもいます。
そんな時には粘着トラップの上にエサを置いておくのがおすすめ。ネズミに被害を受けた食品を置いても良いですし、コーン油やソース、ひまわりの種などネズミの好物を中央に垂らしておくのもおすすめです。
もし別で設置した殺鼠剤を食べてくれているのであれば、粘着トラップの中央に殺鼠剤を設置しておくのも有効。殺鼠剤に対して抵抗がなくなっているネズミの場合、殺鼠剤をエサとして認識して食べに来てくれる可能性があります。
粘着トラップをトンネル型にする
ネズミは暗くて狭い場所が好み。そのため、粘着トラップも三角に折ったりしてトンネル型にすると効果的です。粘着トラップと分からずに、狭い穴の隙間に入り込んでくれます。もし設置場所が室内(リビングやキッチンなど)の場合は夜間にネズミが徘徊している可能性もあるため、光が入らないような家具の裏にトンネル型にした粘着トラップを設置しておくのが良いでしょう。
また、ネズミが出没するような場所はホコリが溜まっていたり水に濡れていたりすることも多いため、粘着トラップの粘着力を損なわないためにもトンネル上に折っておくのが良いかもしれません。市販されているものはもともと屋根が付いている(家のような形になっている)ものもあるため、室内に設置するならそういったものがおすすめです。
粘着トラップを設置する場所は定期的に変える
ネズミは縄張り意識が強い動物なので、粘着トラップが設置されている場所を覚えています。もし1匹が捕まった場合、そのネズミは「ここは危険な場所だ!」と鳴き声で周囲のネズミに警告を出します。その警告を聞いた他のネズミはその場所に寄り付かなくなってしまうのです。
そのため、もし粘着トラップにネズミが捕まった場合には次に設置する場所は変えていきましょう。ラットサインを確認して、なるべくネズミの行動範囲の中に設置するのがおすすめです。
ネズミが住みつきにくくするなら忌避剤を使った対策
ネズミが発生していないが対策しておきたい方、ネズミ駆除が完全に完了した方におすすめなのがネズミ忌避剤。その名の通りネズミを寄せ付けないために設置する薬です。ネズミが嫌がる天然ハーブの匂いを出す忌避剤を設置したり、ネズミにかじられないようにカプサイシン(辛味成分)を練り混ぜたパテで穴を塞ぐ方法があります。
また、最近ではネズミが嫌がる超音波を発生させる装置も販売されています。超音波なら人間には聞こえない音を発しているだけですし、薬剤も使わないので安心。しかし、超音波には忌避効果はないとも言われています。ネズミが不快に感じる程度の超音波効果はあるのですが、建物に入らなくなるほどの忌避力は期待出来ません。
また、ペットを飼っている家庭では使用に注意が必要です。もしかすると、その超音波がペットにも影響するかもしれません。
即効性が欲しいならスプレータイプの忌避剤
忌避剤にはスプレータイプやゲルタイプ、パテタイプなど様々な種類がありますが、即効性が欲しいならスプレータイプがおすすめ。スプレータイプの忌避剤の中には猫の匂いやハーブの匂い成分など、ネズミが嫌いな匂いを発するものが含まれています。
ネズミが侵入していると思われる隙間や、ラットサイン(ネズミが通った跡)が付いているような箇所にスプレーしておくと効果的。スプレー噴射できるので天井裏や家具の裏、床下の通気口など狭い隙間にも処置できるのがメリットです。
多くのスプレータイプ忌避剤は処置後24時間ほど効果が持続します。しかし、24時間で匂い成分が弱くなってくるので持続力が弱いのが弱点。突発的なネズミ発生や、ネズミ駆除後の応急処置として使用するのがおすすめです。継続的に忌避効果を出したいのであれば、下に紹介しているゲルタイプやパテタイプのものを使用しましょう。
持続性が高いのはゲルタイプの忌避剤
ゲルタイプの忌避剤はゲルの中に猫の匂いやハーブの匂いが入っているため、持続的に忌避効果を発揮するのがポイント。ゲルはケースに入った状態になっているため、室内、天井裏、床下など設置場所が自由に選べるのもメリットです。
空気と反応して匂い成分を発するゲルなので、長期間使用しているとなくなっていきます。市販されているものだと約3ヶ月ほど効果が持続するものも販売されており、1シーズンに2回ほど入れ替え設置しておけば効果的。簡単に使用できるので、ネズミが侵入してきやすい秋頃に設置しておくと良いでしょう。
穴を塞ぐ時にはカプサイシン入りのパテを使用
もしネズミにかじられたような跡があるなら、その場所を塞がなければいけません。
- 壁に穴が空いている
- 柱をかじられている
- 家具を削られている
など様々な場所に被害が出ますが、そういた被害があった場所にはパテ処理がおすすめです。ネズミが嫌がるカプサイシン(辛み成分)が含まれている防鼠パテを使用すれば、ネズミがその場所をかじることがなくなります。特にネズミの侵入口となるような壁の穴は防鼠パテで塞ぐのがおすすめ。
金属製の網やタワシのような形状のものも販売されているのですが、顎の力が強いネズミだと噛みちぎってしまうことも多々あります。そのため、なるべくネズミが嫌がる成分練り込んだもので塞ぐのがおすすめです。
超音波タイプは使用環境に注意が必要
最近では、超音波でネズミを追い出すような装置も販売されています。超音波装置といっても大型のものではなく、Amazon等でも簡単に購入できる小型のもの。ネズミの嫌がある周波数の超音波を発し、ネズミが不快に思う環境を作ってくれます。
使用する際は廊下や洗面脱衣所、キッチンなど夜間に人がいない場所を選びましょう。夜行性のネズミが移動する先に設置しておけば、ネズミ自身が降りてくることが出来ず、食料を食べられないため屋外に出ていく可能性があります。
一定の効果があるようなのですが、ネズミも生き物なので全てのネズミに対して効果があるかは断定できません。また、犬や猫などペットを飼われている家庭では使用しない方が良いでしょう。もしかすると、その超音波がペットに対して悪影響を与えるかもしれません。
ネズミの侵入を防ぐなら防鼠ブラシ
ネズミは小さな隙間から侵入してくる動物です。一般的には10円玉程度の大きさがあればクマネズミは侵入できますし、、ハツカネズミにいたっては1cm程度の極小さな穴からも侵入してきます。扉のちょっとした隙間でも難なく侵入できてしまうのです。壁に空いた穴であればパテで塞ぐのがおすすめですが、扉の隙間など可動式の物の隙間はどうしても塞ぎきれません。
そんな時には防鼠(ぼうそ)ブラシがおすすめ。隙間が空くところに隙間テープのようにトゲトゲのブラシを設置しネズミの侵入を防ぐのです。中にはネズミが嫌がるカプサイシンが含まれた防鼠ブラシもあるため、ブラシ単体で使用するよりも防鼠効果があります。
駆除作業が終わったら害虫(ダニ)駆除作業も
ネズミは体の表面にダニが寄生していることが多々あります。不衛生な場所を好んで移動するため、その間に身体中にダニがびっしりついた状態になってしまうのです。
殺鼠剤を使用するとほとんどのネズミは屋外へ出て絶命しますが、時には屋内から出られずに死んでしまうネズミもいます。もし天井裏でネズミが死んでしまうとそこからダニが発生し、室内にダニが侵入してきてしまいます。せっかくネズミを駆除したとしても、ダニ被害に発展するのでは意味がありません。
そのため、ネズミ駆除を完了させたら、そのままダニ駆除を行いましょう。ほとんどのダニは市販の殺虫剤(ピレスロイド系殺虫剤)で駆除できますし、天井裏に燻煙剤(くんえんざい)を炊いておくとより安心でしょう。室内と天井裏で同時に燻煙剤処理しておけばダニの発生も防げますし、隠れた虫も駆除できます。
ネズミの駆除が終わったら燻煙剤で殺虫処理。これは覚えておきましょう。
害虫駆除業者(プロ)の駆除方法
ネズミ駆除の方法は色々あるのですが、全て本当に効果があるのかというとそうとも言い切れません。何でも使いようです。
ネズミの種類や状況に合わせた駆除方法を実施しなければ効果は出ませんし、上で紹介している駆除方法はあくまでも一つ一つの駆除グッズの使い方。私たち害虫駆除業者も同じような駆除方法を行うのですが、状況と段階に合わせて駆除方法を変えています。
ここでは、私たちプロの害虫駆除業者が行う駆除方法をご紹介します。あくまでも業者として行う駆除方法なので、使う薬剤や製品などが準備できる、できないという判断は個人にお任せします。こうすれば100%大丈夫というわけではなく、こういう順序で考えているという参考にしてください。
STEP 01 ネズミの発生規模を見極める
まず最初にネズミがどの程度発生しているのかを確認します。ネズミ被害の規模を確認するため、
- ネズミのフン
- 足跡の場所
- 天井の尿シミ
- かじった形跡、木クズ
等をチェックします。これらはネズミの生息している場所だけでなく、生息している数を調べることにも影響するため、慎重に行います。
ネズミのフン
ネズミは便意を我慢することが出来ないため、歩きながらでもフンを落としていきます。そのため、どの程度フンが落ちているか、どこに落ちているかを確認すればネズミの量と行動範囲がおおよそ断定できます。
足跡の場所
ネズミは暗く狭い場所を好んで移動するため、ホコリに足跡が付いていることが多々あります。5mmほどの小さな足跡がついている場合、ネズミである可能性が高くなります。さらに、ネズミには長い尻尾が存在するため、尻尾を引きずって歩いたような線が付きます。
主に天井裏での確認作業になるのですが、足跡が確認できない場合には小麦粉等の粉を撒いて足跡が付きやすいようにして確認します。足跡の場所や量を確認することで、ネズミの生息範囲を断定することが可能です。
天井の尿シミ
天井に雨漏りのようなシミがある場合、それはネズミの尿跡である可能性があります。ネズミは巣の近くで尿をすることが多く、天井のシミ近くを確認すれば巣が見つかります。
室内からも確認できるのですが、もし被害の数が多い場合には天井裏に登って被害箇所を確認します。天井裏だと断熱材の中に巣を作っていることも多く、断熱材が尿で湿っている箇所もあります。そういった箇所はネズミの生活圏になっているため、殺鼠剤や粘着トラップを設置する際の目印になるのです。
かじった形跡、木クズ
ネズミは歯を研ぐために様々なものをかじります。特に家の柱などは木で出来ているため、ネズミにとっては格好の歯磨き。特に食べるものがなくてもそういった木の部分をガリガリとかじってしまいます。
もし木クズがたくさん落ちている場所があれば、その付近にネズミが生息しているということ。確実に巣があるとは言い切れませんが、ネズミの移動圏内であることは間違いないため、駆除作業の時に集中的に処置します。
STEP 02 ラットサインを探す
ネズミは下水道やゴミ箱の中などを好んで移動するため、体が汚れています。汚れた体を引きずりながら歩いているため、ネズミが通った後には黒い跡が残ることも。こういった黒い跡(ネズミが通った跡)をラットサインと呼びます。
ラットラインが付いているということは、そこを頻繁にネズミが移動しているということ。そのため近くに巣がある、もしくは餌場がある可能性も高いのです。ラットサインが付いている場所を探し、その付近に殺鼠剤や粘着トラップを設置すると効果が高くなります。
特に天井の四隅や天井裏の配管にラットサインが付いていることが多く、ラットサインを追いかけていくことによって巣や生活の中心となっている場所を探せます。
STEP 03 各所に殺鼠剤を設置する
ラットサインからおおよその活動範囲を特定したら、天井裏を中心に殺鼠剤を仕掛けていきます。天井裏で被害が多そうな場所はもちろん、キッチンやトイレなどネズミ被害に遭っている箇所にも殺鼠剤を設置します。
全ての殺鼠剤が食べられるわけではなく、初期の殺鼠剤設置はネズミの餌場を探る目的もあります。殺鼠剤を食べる場所、食べない場所、ネズミが移動している音が聞こえる場所等を確認することによって、巣になっている場所を特定し、その近くに重点的に殺鼠剤を仕掛けていくのです。
私たちは即効性の殺鼠剤は使用せず、遅効性のもの(クマリン系、ワルファリン系)をメインに使用します。遅効性なので時間はかかってしまうものの、警戒されずになるべく多くのネズミに殺鼠剤を食べさせるためには遅効性のものがおすすめ。もし即効性の殺鼠剤を食べて死んだネズミを他のネズミが見てしまうと、警戒してそれ以降の殺鼠剤を食べてくれなくなります。
基本的に殺鼠剤を食べるまで1週間ほど期間が必要になるため、2回殺鼠剤を交換することを考えると3週間ほどの期間が必要となります。殺鼠剤の効果が出るのは食べてから3日〜5日程度なので、1回の殺鼠剤だけではすぐに駆除が難しいのが現状。ネズミは殺鼠剤による駆除がメインとなりますが、期間がかかるものなのです。
STEP 04 粘着トラップを設置する
殺鼠剤を食べてくれた後には、残ったネズミを粘着トラップで捕獲駆除します。粘着トラップも殺鼠剤と同じように天井裏の各所と、キッチンやトイレなどネズミが好んで移動するような場所に設置します。
市販されている家のようなデザインの粘着トラップではなく、私たちは粘着版のような形のものを使用します。天井裏、家具の裏などに設置しますが、壁と床の隙間が開かないようにピッタリと設置。ネズミは狭い隙間が好きな動物なので、粘着トラップと壁の間に隙間があるとそっちを移動してしまいます。
天井裏の四隅とラットサインのある場所、室内の家具の裏などに重点的に設置します。
STEP 05 殺鼠剤を増設する
粘着トラップで全て捕獲することは出来ないため、ネズミ被害が落ち着いてきた後にも殺鼠剤を増設。粘着トラップはネズミに警戒されている可能性もあるため、最終的にはやはり殺鼠剤で駆除するパターンが多いのです。粘着トラップの上に殺鼠剤を乗せたものも使用します。
もし粘着トラップに捕まらなくなったり、音がしなくなったりしたとしても、ネズミは一時的に活動を止めているだけかもしれません。しかし、ネズミは2、3日何も食べずに生きることは出来ないため、生息しているにも関わらず室内の食品被害がない場合は、殺鼠剤を食べてくれる可能性があります。
それでも天井裏の各所に設置した殺鼠剤を食べなくなり、ネズミの物音も無くなった頃に駆除が完了。
STEP 06 侵入箇所を塞ぎ、忌避剤を設置
ネズミの駆除が完了したら侵入箇所を全て塞ぎます。穴を塞ぐ時にはパンチングメタルや防鼠パテ(カプサイシン入りのパテ)を使用します。
クマネズミやハツカネズミの場合はパンチングメタルでも十分に効果があるのですが、大型のドブネズミの場合はパンチングメタルでも食い破られる可能性があります。その際にはネズミが嫌がるような成分を含んだ防鼠パテを使用したり、モルタル(セメント)等の固いもので完全に穴を塞ぎます。
床下通風口はパンチングメタル、天井裏の穴は防鼠パテ、壁の穴はモルタルのように塞ぐものも使い分けるのが効果的。
侵入経路を塞いだら、最後に忌避剤を設置します。スプレータイプのものは効果の持続性が弱いため、ゲルタイプのものを設置するか燻煙剤を使用します。多くはハーブの匂いがするものであるため、人間の生活に大きな影響を与えずに忌避が可能です。
私たち業者としては超音波タイプのものは使用していません。超音波タイプは完全に忌避効果があると証明されているものではなく、ネズミが少し嫌がる程度の効果しかいないことに加え、ペットやその他の生き物に対してどの程度の影響があるか把握できないためです。
STEP 07 屋内全体を殺虫処理
ネズミにはダニが寄生しているため、駆除した後に室内でダニが発生することも多々あります。これはネズミの死骸に付いていたダニが栄養源を失い、室内の人間を求めて降りてくるためです。
そこで、ネズミ駆除が完了した後には続けて害虫駆除作業を行います。ネズミに寄生しているダニ(ツツガムシ)は生命力が強いものではないため、燻煙剤や燻蒸剤、通常の殺虫剤で十分に処理できます。しかし、ネズミの移動範囲とともにダニの発生場所も広くなるため、全面的な駆除作業が必要。
最後の殺虫処理を行わない業者さんもおられますが、基本的には予防の意味も込めてダニの殺虫処理を行うのが良いでしょう。
ネズミを侵入させないために
ネズミを駆除することも重要ですが、そもそもネズミが侵入しないように対策することも重要。面倒なことにネズミ被害は再発する可能性が非常に高く、一度ネズミ被害が起きると何度もネズミに入り込まれるケースがあります。根本を解決しなければいけないのです。
ここではネズミを侵入させないためのチェックポイントと対策をご紹介します。
ラットサインが無いか確認
ネズミの侵入箇所を確認するために、まずはラットサインを確認しましょう。ネズミは下水道やゴミ箱など汚い場所を好んで移動しているため、体中が汚れています。そのため、その汚い体で歩いた場所が黒く汚れていくのです。その汚れがラットサインと呼ばれるもの。
- 天井や床の隅
- キッチン家具の裏
- 配線が固まっている場所
などはネズミの通り道になりやすく、ラットサインが付きやすい場所です。ラットサインの場所を確認することでネズミの行動範囲が分かりますし、ラットサインの量と濃さを確認すると生息数が多いのか少ないのかも確認できます。
ネズミのフンや尿の跡が無いか確認
ラットサイン以外に、ネズミのフンが落ちていないかも確認しましょう。ネズミのフンはクマネズミの場合6mm〜10mm程度の大きさで、米粒のような楕円形をしています。ハツカネズミの場合はもう少し小さく5mm前後の大きさなのですが、同じように楕円形をした茶色いもの。
よくコウモリのフンと間違われるのですが、コウモリのフンは雑巾で絞ったように捻じれているのが特徴です。ネズミのフンは捻れたような形状にはならず、そのままの楕円形のフンが一般的です。
また、尿の跡がないかも確認しましょう。天井の隅に10cm程度の雨漏りのようなシミがある場合、それはネズミの尿の跡かもしれません。雨漏りの場合はそこから水が壁をつたって垂れてくるようになるのですが、ネズミの尿シミの場合はそこまで大量の水分を含んでいないため円形のしみだけができます。
そういったフンや尿の跡もネズミが生息している印。跡があればそこが必ず侵入箇所とは言い切れませんが、その場所につながるようなところに侵入口が空いている可能性が高いです。
木屑(木クズ)が落ちていないか確認
ネズミは歯を研ぐために木をかじります。天井裏の柱をかじることが多いのですが、室内の柱や壁、家具などをかじっていることも多々あります。ネズミは歯が伸び続ける動物なので、歯の長さを一定に保つために木をかじって研いでいます。そのため、必ずしも食品を置いている場所でネズミのかじった跡があるわけではないのです。
木クズが発生する原因はネズミだけではありませんが、天井裏のカリカリという音やキーキーという鳴き声が聞こえている場合、それはネズミの仕業と見て間違い無いでしょう。
木クズが落ちているということはネズミが歯を研いでいたということ。その付近はネズミの生活圏になっており、移動範囲の中です。そう言った場所は重点的に殺鼠剤や粘着トラップの設置箇所候補。さらに、侵入口が近くに存在する可能性もあるため、木クズが落ちている近辺に穴が空いていないかを確認します。
忌避剤を設置
侵入口が見つかったら、近くに忌避剤を設置します。と言っても、実際にネズミが発生している場合には完全に駆除してから忌避剤を設置します。もし屋内にネズミがいる状態で忌避剤を設置してしまうと、ネズミがパニックになって暴れる可能性もあるからです。天井裏に潜んでいたのに、忌避剤のせいで外に出られなくなって室内へ出没する可能性があります。
ネズミが屋内にいないようであれば、まずはスプレータイプの忌避剤を周囲に塗布します。その後、侵入口と思われる箇所にゲルタイプ(持続性の高いタイプ)の忌避剤をセットしましょう。
スプレータイプとゲルタイプ、どっちが良いの?
と聞かれることもあるのですが、そもそも別物なので使い分ける必要があります。即効性を求めるのであればスプレータイプを使用し、持続力を求めるのであればゲルタイプを使用します。また、ゲルタイプも多くは3ヶ月ほどで効果が薄くなるため取り替えが必要です。
侵入経路を遮断
忌避剤まで準備したら、侵入口を塞ぎます。侵入口を塞ぐ時にはネズミ専用のものを使用しましょう。よくホームセンターで安く売られているようなフタやパテはネズミに効果がありません。簡単に歯でかじって開けてしまいます。
私たちがよく使用するのは防鼠パテとパンチングメタル。大きな穴で、なおかつ空気の通りを防げない場所(通気口など)はパンチングメタルを設置します。逆に穴が小さくて完全に閉じたい場所は防鼠パテやモルタル(セメント)で完全に閉じてしまいます。
扉など稼働させたいものに隙間が空いている場合、完全に塞ぐことは出来ません。そう言った時には防鼠ブラシという隙間テープ(ブラシ)のようなものを使用します。ネズミが嫌がるハーブの香りやカプサイシンが含まれたブラシなので、物理的にネズミが侵入する隙間を埋めるだけでなく、匂いで寄せ付けない効果もあります。
大事なのはネズミ用のものを使用するという点。ネズミは賢く、想像以上に強い力を持っているため、普通に穴を塞いだだけでは同じ場所から侵入してしまうのです。ネズミが嫌がる成分を含んだもので閉じましょう。
掃除を徹底する
ネズミ対策の方法はたくさんありますが、何よりも重要なのは場所を清潔に保っておくことです。ネズミが屋内に侵入してくる主な目的は食料の確保。つまり人間の食べ残しやゴミを漁るために侵入してきます。寒さを凌ぐために侵入してくるネズミもいますが、室内にまで侵入してくるということは食べ物を求めて侵入してくるのです。
そのため、キッチンやリビング、トイレ、ゴミ箱などは常に清潔に保っておきましょう。食べ残しや生ごみがすぐに処理することはもちろん、ゴミ箱もしっかりと蓋のついたものを使い、キッチンや水回りは定期的に掃除することが大事です。普段は動かさないような家具があったとしても、そう言った家具の隙間を掃除できるような工夫をするなどの対応が必要。
ネズミは人間の食べ物以外のものも食べる習性がある(石鹸、油など)ため、どこまで掃除して片付ければ良いのか分からないかもしれません。そういう時に迷ったら、フタのついているものはしっかりフタをするということを徹底しておきましょう。
フタをしていてもかじられれば意味がないと思うかもしれませんが、フタをすることで匂いが漂うことを抑制し、そもそもネズミが寄ってこない環境を作れます。何より、整理整頓、掃除が重要です。
ネズミ駆除の注意点
ここまでのおさらいとして、ネズミ駆除を自分で行うときの注意点をまとめておきます。本来はプロの駆除業者へ依頼するのがベストなのですが、なるべくお金をかけずに自分で駆除作業を行いたい人もいるでしょう。そう言った時には、まずこの3点だけは覚えておいてください。
駆除には時間がかかる
ネズミの駆除には時間がかかります。ネズミは賢い動物なので急激な変化があると警戒してしまうため、殺鼠剤も食べてから3日〜5日後に効果が現れるような遅効性のものがメジャー。さらにネズミに生息量が多くなると食べさせなければいけないネズミの多くなるため、より長い期間が必要になります。
粘着トラップで捕まえてすぐに駆除したいと考える方もおられますが、正常なネズミで粘着トラップに捕まってくれるのは最初の1匹だけです。それ以外のネズミは捕まったネズミを見て粘着トラップを警戒してしまいます。粘着トラップを使用したいなら、殺鼠剤で弱らせたネズミを狙いましょう。
多くの一般家庭の場合、ネズミ駆除には約1ヶ月ほどの時間がかかります。殺鼠剤を2回ほど入れ替え、残ったネズミを粘着トラップで捕獲し、侵入経路を確かめて塞ぐ。この工程を踏んでいかなければいけないため、長い期間が必要なのです。
テナントビルに入っているような飲食店の場合、生息範囲が飲食店だけとは限らないため、さらに長い時間が必要です。私の経験上、最長で3ヶ月以上かかった現場もありました。結局、ビル内の他の場所に逃げ込んでしまったため、別のテナントさんから駆除依頼があったり、とイタチごっこになってしまうのです。
人の匂いを消す
ネズミは嗅覚が優れた生き物です。そのため、人間の匂いが付いているような物に対して非常に警戒心を持ちます。
殺鼠剤や粘着トラップ等を仕掛ける場合、ネズミに近付いてもらわなければ行けません。そのため、殺鼠剤や粘着トラップを触る時には素手で触らないように注意しましょう。素手で触っただけで人間の匂いが付き、ネズミは近寄らない可能性が高くなります。
一度人間の匂いを確認すると、「あれは危ないものだ」と学習してしまうため、それ以降に設置したトラップも引っかかってくれません。殺鼠剤を置いても食べてくれず、粘着トラップも避けて移動するようになります。
ネズミ駆除をするときは必ずゴム手袋、軍手、長袖長ズボンを着用し、人間の匂いが付着しないように注意しましょう。
トラップだけでは駆除できない
ネズミ駆除といえば粘着トラップと勘違いしている方もたくさんおられます。私が担当した現場でも、
ホームセンターで買ってきた粘着トラップをたくさん置いてるのに、一向におさまらないんです。
と相談を受けることがありましたが、粘着トラップだけでネズミ駆除はできません。粘着トラップが危ないものだと認識したネズミは近寄ってきませんし、そもそも屋内にどれだけの数が生息しているかも分からない状態で粘着トラップを使っても、潜んでいるネズミはまだまだいるかもしれません。ネズミは非常に繁殖スピードが早いため、潜んでいるネズミが交尾してどんどん増えていきます。
ネズミを駆除するためには殺鼠剤が一番。これは毒性が高いとかそういう問題ではなく、ネズミに警戒されず、確実に効果を上げるための手段です。遅効性の毒でゆっくりとネズミの体調を崩していき、徐々に屋外へ出たくなるように誘導します。即効性を求めたい気持ちはわかりますが、ネズミ駆除の場合はゆっくりでも確実に効果がある方法を選びましょう。
確実に駆除したいなら害虫駆除業者へ依頼
屋内に発生しているネズミを確実に駆除したいなら、害虫駆除業者へ依頼するのが一番です。いくら自分で勉強して駆除しようとしても、相手は生き物なのでその場その場によっての判断が重要になります。判断を誤るとネズミに警戒され、トラップにかからないだけではなく家の中で大繁殖される可能性も。
害虫駆除業者はネズミ駆除の経験も豊富にあるため、発生状況を見極めて適切な処置が可能。扱っている殺鼠剤の種類も市販のものとは違い、効果が出るまでの時間が異なる数種類のものを使い分けたりしています。また、粘着トラップを設置する際も、ネズミが通っている場所(ラットサイン)を見極めつつ、ネズミが好んで通るような形状で設置します。
ネズミ駆除はただ駆除アイテムを設置するのではなく、全体的なスケジュールを決めて一つ一つ確実に処置していくことが何より重要です。そう言った意味でも、確実に駆除したい時には害虫駆除業者へ依頼しましょう。
ネズミ駆除費用の相場
ネズミ駆除にかかる費用相場は多くの場合、一般家庭で3万円〜5万円ほど。もちろんこれは発生状況や家の大きさ、戸建てか集合住宅化などの条件により異なるのですが、一つの目安として5万円ほどの費用で駆除できるとイメージしてください。
5万円と聞くと高く感じるかもしれませんが、プロの業者が駆除を行う場合は天井裏作業がメインとなります。点検口から天井裏へのぼり、狭い中でネズミの形跡を探して作業を行うのです。天井裏に殺鼠剤をおくことはできても、中まで入り込んでネズミの形跡を探すのは素人にはなかなか出来ないもの。そのため、少々高い費用がかかるのです。
特に家が大きく3階建以上であったり、集合住宅に住まわれている場合などは費用が高額になりがちです。そもそも天井裏のスペースが狭く作られている可能性がありますし、その部屋だけが原因ではなく、他の部屋から被害が広がっている可能性もあるからです。ラットサインひとつ見つけるにも一般家庭とは比にならないほどの労力がかかります。
大きなお家や集合住宅、テナントビルなどの場合は駆除費用が10万円を超えることもあります。こればかりは現場によって大きく異なるため、気になる場合には無料見積もりだけでも取ってみると良いでしょう。
ネズミ駆除にかかる期間
ほとんどの場合、ネズミ駆除は1ヶ月ほどで完了します。1ヶ月と言ってもずっと何か作業をし続けるわけではなく、
ネズミ駆除の流れ
- 現場確認、被害状況の調査、殺鼠剤の設置
- 殺鼠剤の交換、増設
- 粘着トラップの設置
- 侵入箇所の特定、塞ぐ作業
というような流れで行うため、1ヶ月の間に3回〜4回ほど訪問して作業を行います。1回の作業時間は1時間ほどで完了する場合が多く、作業時間帯は日中でも可能です。よく、ネズミは夜行性なので夜間に作業すると思われている方もいますが、天井裏がメインの作業場所になるため夜間でも日中でもそこまで大きく変わりません。
しかし、被害状況が甚大である場合などは駆除に数ヶ月かかることもあります。特にテナントビルなどは侵入箇所が複数あり、すべての場所が特定不可能なケースも多々あります。そうなると根本解決が難しく、駆除完了を目指すのではなく、定期的な点検と駆除作業を並行する形になります。駆除費用がいくらという話ではなく、定期点検費用として毎月の作業となるのです。
害虫駆除業者へ依頼する際に注意すべきこと
害虫駆除業者へネズミ駆除を依頼する場合、いくつかの注意点があります。契約上のトラブルだけでなく二次被害を防ぐためにも、業者へ依頼する場合にはしっかりと確認しておきましょう。
損害賠償保険に入っているか
ネズミ駆除は天井裏に登って作業することになります。つまり、室内の物を移動したりすることはもちろん、天井裏を移動するため建物を破損させる可能性もゼロではないということ。そのため、害虫駆除業者は基本的に損害賠償保険に加入しています。もしものことがあった時にはその保険で補償します。
しかし、駆除業者の中にはこの保険に加入していない業者もいるため注意が必要。もし保険未加入で建物に対して損害を発生させてしまうと、大きなトラブルに繋がりかねません。
業者に依頼する時には、契約段階で損害賠償保険に入っているかを確認しましょう。
見積り金額での対応範囲
ネズミ駆除の見積もりをしてもらったら、その金額でどの程度の範囲まで対応してもらえるのかを確認しましょう。もしかすると対象となっているのが発生している部屋だけかもしれません。根本解決をするのであれば、部屋はもちろん天井裏、横の部屋、屋外なども確認して処理してもらう必要があります。
また、対応回数、期間も確認しておきましょう。先に述べたようにネズミ駆除は期間がかかるものです。殺鼠剤の設置や交換だけでも数回訪問する必要がありますし、侵入箇所を塞ぐ作業まで含めると少なくとも3、4回は訪問して作業する必要があります。そういった作業がすべて含まれているのかも確認が必要ですね。
再発の場合の保証期間
ネズミ被害は再発する可能性があります。一時的に駆除できたとしても、もしかすると別の場所から侵入してくる可能性もあるのです。
そういった再発の可能性に備えて、駆除業者がどこまで対応してくれるのかを確認しておきましょう。同じ箇所から同じ種類のネズミが再発した場合に補償してくれる業者もいれば、再発は補償していない業者もいます。
二次被害も想定した駆除をしてくれるのか
ネズミは体にダニを寄生させています。そのため、ネズミ駆除の時にもし屋内にネズミの死骸が残ってしまうとそこからダニが発生します。ダニは寄生する先を失うため、次の吸血先を探して室内へ降りてきてしまい、人間に被害が生じます。
害虫駆除業者としてはそう言った二次被害を防ぐため、ネズミ駆除の後には害虫駆除も行うことが必要です。そう言った費用や補償も含まれているのかを最初に確認しておきましょう。