夜に洗面所の壁や玄関の床を、脚の長い虫がすっと走っていった。ゲジゲジを一匹見て、「一匹いたら、家のどこかにもっといるのでは」と心配になって調べている人が多いと思います。
先に答えを書くと、家の中で見たゲジゲジは外から入ってきた1匹で、家の中で増えているわけではありません。私の会社でもゲジゲジの相談を受けて駆除に出ていますが、家の中でゲジゲジが増えていた現場はまずありません。ゲジゲジは人を咬まない虫で、札幌市保健所は衛生的な害も無いと案内しています。
ただ、同じ家で何度も見るなら、家のまわりにゲジゲジの住みかとエサがそろっています。この記事では、駆除業者の立場から、一匹いたら何匹いるのかへの答え、ゲジゲジが出やすい家と部屋、見つけた1匹の外への出し方、何度も出る家での止め方と業者の費用を、自治体や殺虫剤メーカーの公式情報と合わせてまとめました。
ゲジゲジが一匹いたら、外から入った1匹で家の中では増えていない
ゲジゲジ(正式な名前はゲジ)は、ムカデと同じ仲間の生き物です。札幌市保健所によると、ふだんは「石や落ち葉の下、コンクリートの裂け目など」に住み、春から秋にかけてエサを求めて家の中へ入ってきます(札幌市)。
増え方も、家の中で数が増える虫とは違います。ゲジゲジの雌は、卵を1個ずつ泥で包んで、地面の割れ目や土の中に置いていきます。親は子育てをせず、生まれた子はそのまま1匹で暮らし始めます(コトバンク「ゲジ」の日本大百科全書・ブリタニカ国際大百科事典)。ゴキブリのように、家具のすき間に卵のかたまりを残して同じ場所から次々に出てくる、という増え方はしません。

私の会社の現場でも、家の中で見るゲジゲジは外から入ってきたものです。一匹見たからといって、壁の中や家具の裏に何十匹も隠れていると考える必要はありません。
「1匹いたら30匹」「つがいでいる」はゲジゲジには根拠がない
「1匹見たら30匹いる」はゴキブリについて、「1匹いたらつがいでもう1匹いる」はムカデについて言われる話です。ゲジゲジについては、家の中に何匹いるかを数えた調査を、自治体・殺虫剤メーカー・百科事典のどれでも見つけられませんでした。雄と雌が一緒に行動するという記述もありません。
ムカデのつがい説も、KINCHOとフマキラーが否定しています。くわしくはムカデ対策の記事に書きました。
続けて2匹、3匹と見ることはあります。それは家の中で増えたからではなく、家のまわりに住んでいるゲジゲジが多く、何匹も入ってきているからです。そうした家の手当ては、このあとの「何度も出る家」の見出しで説明します。
小さいゲジゲジ(赤ちゃん)を見ても、家の中で生まれたとは限らない
生まれたばかりのゲジゲジは脚が4対しかなく、脱皮のたびに脚が増えて、大人になると15対になります。大人になるまでは約2年かかります(名古屋市)。小さいゲジゲジも、外で生まれた子どもが大人と同じように入ってきたと考えるのが自然です。
一方で、環境コントロールセンターは、古い家では天井裏や床下がゲジゲジの住みかになっていることがあると書いています(環境コントロールセンター)。大きさの違うゲジゲジを何度も見るなら、部屋の中ではなく、床下を含めた家のまわりを手当てします。
ゲジゲジは人を咬まず、衛生的な害もない不快害虫

ゲジゲジは見た目こそ怖いものの、人を咬む虫ではありません。名古屋市は「ムカデのように咬むこともない」とし、札幌市保健所も「咬んだり刺したりすることはありません」「衛生的な害はないので、捕まえて外に出しましょう」と案内しています。KINCHO園芸は、直接の害は無く見た目で嫌われる「不快害虫」としています(KINCHO園芸)。
エサは小さな虫で、名古屋市はカやゴキブリを、アース製薬はハエ・蚊・コオロギ・クモ・ワラジムシを挙げています(アース製薬)。名古屋市が「益虫でもある」と書いているのはこのためです。
「ゲジゲジが頭を這うとハゲる」という言い伝えもありますが、名古屋市は「まったくのぬれぎぬである」と否定しています。
なお、ゲジゲジの口には毒腺のある小さなあごが1対あります(世界大百科事典)。人を咬むことはないとされていますが、素手でつかむのはやめておきましょう。
ムカデとは脚の長さと走り方で見分ける
| ゲジゲジ | ムカデ | |
|---|---|---|
| 体 | 2〜3cmで短い。灰色がかった黄色で、背中に縦じまが3本 | 太くて平たい。家で見るものは10cmを超えることもある |
| 脚 | 体より長い脚が15対。触角も体より長い | 短い脚が体の横に並ぶ |
| 走り方 | 長い脚を波打たせて、すべるように速く走る | 体をくねらせて走る |
| 人への害 | 咬まない | 咬まれると強く痛む |
ムカデだった場合は、咬まれないように扱い方が変わります。ムカデの退治の仕方と咬まれたときの対処はムカデ対策の記事に、脚がもっと短く丸まる虫ならヤスデの駆除の記事にまとめています。
ゲジゲジが出る家は、エサの虫と湿気と外へのすき間がそろっている

私の会社の現場でゲジゲジがよく出るのは、次の3つにあてはまる家です。
- 山や林のそば、庭木や砂利がある家: ムカデがよく出る家と同じ条件です。落ち葉や砂利の下に、ゲジゲジもエサの虫も潜んでいます
- 古い木造で、すき間の多い家: 外壁と土台、扉や窓のまわりにすき間があり、外から入りやすくなっています
- 湿気の多い家: 床下、北側の部屋、1階で多く出ます
自治体やメーカーの情報もこれと合っています。札幌市は住みかとして石や落ち葉の下とコンクリートの裂け目を挙げ、業務用薬剤メーカーのエンビューは床下も挙げています(エンビュー)。
出る時期は、KINCHO園芸によると3月下旬から12月上旬です。ゲジゲジは夜に動くので、家の中で見るのも夜が中心になります。エンビューは、家に入ってくるのは主に夏から秋で、エサ探しのほかに冬越しのためもあるとしています。
ゲジゲジが一匹いても、ゴキブリがいるとは限らない
「ゲジゲジがいる家にはゴキブリがいる」と書いている記事もありますが、そうとは言い切れません。ゲジゲジのエサはゴキブリだけではなく、カ・ハエ・クモ・ワラジムシなど小さな虫全般だからです。
反対に、「ゲジゲジを放っておけばゴキブリが減る」という話も、数字の根拠は見つかりませんでした。「ゴキブリを何割減らす」「年に何百匹食べる」といった数字を見かけることがありますが、調査の名前や出典が示されたものはありません。
ゴキブリがいるかどうかは、ゲジゲジからは判断できません。気になるなら台所の冷蔵庫の裏や流しの下に捕獲器を置いて、かかるかどうかで確かめるのが確実です。置き方はゴキブリホイホイの記事に、ゴキブリがいたときの対策はゴキブリ対策の記事に書いています。
家の中で出やすいのは浴室・洗面所、玄関・勝手口、押し入れ・台所
私の会社の現場で、家の中でゲジゲジが出たという相談が多いのは、浴室・洗面所、玄関・勝手口、押し入れ・床下収納・台所です。どれも、湿気がこもるか、外や床下とつながっている場所です。

ゲジゲジを見た場所が分かれば、近くのすき間から入ってきたと考えて手当てできます。玄関や勝手口なら扉の下、浴室や台所なら配管のまわり、押し入れや床下収納ならその下の床下が、確かめる場所です。
見つけた1匹は、つぶさずに外へ出すか凍らせるスプレーで止める

見つけた1匹は、つぶすより外へ出すほうが簡単で、後始末も楽です。ゲジゲジは敵に襲われると自分で脚を切って逃げます(日本大百科全書)。叩いたりつまんだりすると、脚だけが床に残って本体はすき間に逃げ込むことがあります。
外へ出す手順は次のとおりです。
- ゲジゲジが壁や床で止まっているうちに、紙コップか空き容器を上からかぶせる
- 壁や床と容器のあいだに、はがきや厚紙をゆっくり差し込む
- 厚紙でふたをしたまま、容器ごと外へ運ぶ
- 家から離れた植え込みや草むらで放す
触るのも近づくのも無理という人や、走り回って容器をかぶせられないときは、凍らせるスプレーで動きを止めます。アース製薬のムカデコロリ 凍らすジェットは、公式の対象害虫に「ムカデ、ゲジゲジ、ヤスデ」とあり、屋内でも屋外でも使えます。ゲジゲジ用に1本用意するなら、家に出るムカデにも使えるこの型が無駄になりません。
動かなくなったゲジゲジは、トングで胴の部分をつまんで袋に入れて捨てます。脚をつまむと切れてしまうので、胴をはさむのがコツです。75cmのトングなら、しゃがまずに床の上の虫を拾えます。
見失っても、咬まれる心配はないので探し回らなくていい
ゲジゲジを見失って、眠れなくなる人もいると思います。ただ、ゲジゲジは人を咬まないので、見失ったまま寝ても体に害を受けることはまずありません。家具を動かして探し回るより、次に見かけたときに外へ出せば十分です。
気になるなら、見失った部屋の扉の下や窓のすき間に、待ちぶせの効果があるスプレーをかけておきます。次の見出しで紹介するムカデキンチョール 行動停止プラスが、その使い方に向いています。
何度も出る家は、外壁ぎわに粉剤かエサ剤を置いて入る前に止める

同じ家で何度もゲジゲジを見るなら、家の中より家のまわりで止めます。札幌市保健所は、家のまわりの石や落ち葉を片付けたうえで、建物の周囲や土台の腰回りに帯状に殺虫剤をまくよう案内しています。
手順は次のとおりです。
- 家のまわりの落ち葉・枯れ草・置いたままの板や植木鉢を片付ける
- 外壁と土台に沿って、粉剤を帯のようにまく。床下の換気口のまわりも忘れずに
- 粉が舞うと困る玄関まわりなど、粉剤をまきにくい場所にはエサ剤を置く
- 玄関・勝手口の扉の下をすき間テープでふさぐ
外壁ぎわに粉剤を1周まくなら、アース製薬のムカデコロリ 粉剤が使いやすいです。適用害虫に「ムカデ、ヤスデ、ゲジゲジ」とあり、家の周囲のほか床下や通風口にも使えます。効き目は約1ヵ月(使用環境により異なる)なので、ゲジゲジが出始める春と、家に入りやすい夏から秋にまき直します。
粉が舞うと困る玄関まわりや、植木鉢を並べていて粉剤をまきにくい場所にはエサ剤を置きます。ムカデコロリ 駆除エサ剤はムカデ用ですが、アース製薬は「ヤスデ、ゲジゲジ、ダンゴムシ、ワラジムシ」にも効果があるとしています。壁に沿って約2mおきに置き、効き目は約1ヵ月(使用環境により異なる)です。
ゲジゲジをよく見る玄関・勝手口・浴室の窓には、待ちぶせの効果があるスプレーをかけておきます。KINCHOのムカデキンチョール 行動停止プラスは、適用害虫が「ムカデ、ヤスデ、ゲジゲジ」で、屋内でも屋外でも使え、待ちぶせ効果は約1ヵ月です。出た1匹に直接かけて止めることもできるので、粉剤と1本ずつそろえておくと、外と中の両方で使えます。
古い木造の家で玄関や勝手口の扉の下にすき間があるなら、すき間テープでふさぎます。扉の下に貼るだけなので、道具はいりません。
「ムカデ用」でも、ゲジゲジが適用害虫に入っていない製品がある
ムカデ用の殺虫剤なら、どれでもゲジゲジに効くとメーカーが書いているわけではありません。ムカデ用と、家に入る虫全般に使う殺虫剤のうち14製品の適用害虫を、メーカーの公式ページで確かめました。
| メーカー | 適用害虫にゲジ・ゲジゲジがある | 見つからなかった |
|---|---|---|
| アース製薬 | ムカデコロリ 凍らすジェット/ムカデコロリ 1プッシュ式スプレー/ムカデコロリ 駆除エサ剤/ムカデコロリ 粉剤 | ― |
| KINCHO | ムカデキンチョール 行動停止プラス/ムカデムエンダー/イヤな虫キンチョール/イヤな虫がいなくなるパウダー | 置くだけ見なくなる ムカデハンター |
| フマキラー | ムカデフマキラー/ムカデキラーPRO/ムカデキラーワンプッシュ/アリ・ムカデ粉剤(室内には使えない) | ― |
| イカリ消毒 | ― | ムシクリンFL |
出典: アース製薬・KINCHO・フマキラー・イカリ消毒の各製品ページ
KINCHOのムカデハンターの適用害虫は「ムカデ、ヤスデ、ダンゴムシ、ワラジムシ」、イカリ消毒のムシクリンFLは「アリ、タカラダニ、ダンゴムシ、ムカデ、ヤスデ等」で、どちらにもゲジの名前はありません。ゲジゲジに使うつもりで買うなら、パッケージの適用害虫の欄に「ゲジ」か「ゲジゲジ」の文字があるかを確かめてください。
家のまわりで何度も見るなら業者の外回り散布。料金はムカデと同じ
外壁ぎわに粉剤をまいても出続ける家や、自分ではまききれない家は、業者に頼むほうが早く片付きます。目安は次のとおりです。
| こんなとき | どうするか |
|---|---|
| 夏に1〜2回、家の中で1匹見る | 外へ出すだけでよい |
| 同じ場所で月に何度も見る | 外壁ぎわに粉剤とエサ剤、扉の下にすき間テープ |
| 粉剤をまき直しても毎週のように出る | 業者に外回りの散布を頼む |
| 山や林に接していて、家のまわりが広い | 業者に外回りの散布を頼む |
| 床下に入らないと薬をまけない古い家 | 業者に床下を含めて見てもらう |
業者に頼んだときの作業は、ムカデと同じで、家の外回りに薬剤をまくものです。私の会社でも、ゲジゲジだけの特別なメニューはありません。料金もムカデと同じで、私の会社の現場の相場は1回5,000円程度から、まく範囲が広いと1万円からです。
業者の公式サイトの料金表にゲジゲジの名前が無くても、心配はいりません。ゲジゲジを駆除の対象としてはっきり書いている業者の公式サイトは、調べた範囲では見つかりませんでした。電話では「ゲジゲジがよく出るので、ムカデと同じように家の外回りに薬をまいてほしい」と伝えると話が早いです。
虫駆除ドットコムはムカデの1回の料金が公式サイトで分かる
頼む前に費用の見当をつけておきたい人には、虫駆除ドットコムが合います。料金表に「クモ・ムカデ」の欄があり、ムカデの1回の施工は6,600円からです。ゲジゲジの名前は料金表にありませんが、作業はムカデの外回り散布と同じなので、この欄の金額が目安になります。
対応エリアは北海道・沖縄を除く全国です。料金表には原因調査と現地診断の料金も載っているので、どこまでが無料かを電話の最初に聞いておくと、見積もりのあとで慌てずに済みます。
夜中にゲジゲジが出て、その場で相談したい人は、24時間受け付けている害虫駆除110番もあります。対応エリアは全国で、公式サイトの料金表ではムカデの駆除が税込11,000円からです。ゲジゲジもムカデの駆除として相談できます。
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ほかのムカデ駆除業者は、ムカデ駆除業者の一覧で地域ごとに探せます。
保健所は駆除をしない。ゲジゲジかどうかを調べてもらうことはできる
市役所や保健所に頼んでも、ゲジゲジの駆除には来てもらえません。東京都多摩立川保健所は「防除や駆除作業は実施しておりません」としたうえで、持ち込まれた虫は可能な範囲で種類を調べると案内しています(東京都多摩立川保健所)。
ただし同じページには、病気の原因にならず本来は屋外に住む虫には「対応できないことがあります」とも書かれています。ゲジゲジはこれにあてはまるので、ゲジゲジかムカデか分からないときに、持ち込む前に電話で聞いておくと確実です。
ゲジゲジは一匹なら外へ逃がし、何度も出る家だけ外壁ぎわで止める
ゲジゲジが一匹いても、家の中で増えているわけではありません。卵は外の土に1個ずつ産まれ、家の中で見るのは外から入ってきた1匹です。人を咬まないので、紙コップで外へ出すか、凍らせるスプレーで止めれば十分です。
手当てが必要なのは、同じ家で何度も見るときです。
- 家のまわりの落ち葉や置きっぱなしの物を片付ける
- 外壁と土台に沿って、適用害虫にゲジゲジがある粉剤をまき、粉剤をまきにくい場所にはエサ剤を置く
- 玄関や勝手口の扉の下をすき間テープでふさぐ
それでも毎週のように出るなら、業者にムカデと同じ外回りの散布を頼みます。料金もムカデと同じなので、ムカデ駆除の料金表を目安にしてください。
よくある質問
ゲジゲジは益虫だから、家の中にいても放っておいていいですか?
害は無いので、放っておいても困ることはありません。名古屋市もカやゴキブリを食べる「益虫でもある」としています。ただ、ゲジゲジがいればゴキブリがいなくなるという根拠は見つかっていないので、ゴキブリ対策の代わりにはなりません。見たくない人は、紙コップで外へ出してください。
ゲジゲジに咬まれることはありますか?
名古屋市・札幌市保健所・アース製薬は、いずれもゲジゲジは人を咬まないとしています。口に毒腺のあるあごはありますが、人を咬む虫として扱われてはいません。念のため、素手でつかむのは避けてください。
ゲジゲジの寿命はどのくらいですか?
名古屋市は、約2年で大人になり5〜6年生きるとしています。エンビューは大人になってから2〜3年生きるとしていて、資料によって少し違います。
ゲジゲジの脚が取れても、また生えてきますか?
生えてきます。ゲジゲジは襲われると自分で脚を切って逃げ、脱皮のときに脚を作り直します(アース製薬・エンビュー)。床に残った脚が動いていても、本体は逃げているので、近くのすき間を確かめてください。
ゴキブリ用のスプレーでゲジゲジは退治できますか?
業務用薬剤メーカーのエンビューと環境コントロールセンターは、家の中のゲジゲジはゴキブリ用のスプレーで駆除できると書いています。ただ、家庭用のスプレーは製品ごとに適用害虫が決まっているので、確実なのはパッケージに「ゲジ」か「ゲジゲジ」とある製品です。
自分での駆除が難しいときは、業者に見てもらうのも手です
どこも相談と見積もりは無料なので、料金と保証を見比べてから決められます。
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